基礎知識

【基礎知識】複素数平面のまとめ

ここでは数学3の「複素数平面」についてまとめています。

「負の数の平方根はない」という今までの常識を覆し、高校数学では「虚数」というものが登場します。
存在しないと言われていたものが、実は存在しますと今更言われても非常に困惑するかと思います。

数学は数珠つなぎの学問です。ある事実に対して、次のある事実を積み重ねていきます。
この意味では、数学を学ぶ際には数学の歴史を追いかけることになります。
それは、今までは存在しないと思われていたものの存在を認めるという寛容性も持ち合わせていなくてはならないということを意味します。(ちなみに、歴史的には無理数すら存在しないと考えられていた時代がありました。)

非常にとっつきにくい分野になりますが、複素数を用いると多くの自然界の法則を簡潔に記述することができるという点で、複素数はとても重要な道具になります。
複素数が本当に役に立つのは高校を卒業してからになりますので、その基礎を高校時代に固めておきましょう。

1節 複素数平面

複素数平面

まずは複素数平面とは何なのかという基礎の基礎を学習しましょう。

【複素数平面】複素数平面の基礎

共役複素数

複素数z, ~wに対し、

    \begin{eqnarray*} \overline{z+w} &=& \overline{z}+\overline{w} \\\\ \overline{z-w} &=& \overline{z}-\overline{w} \\\\ \overline{zw} &=& \overline{z}~\overline{w} \\\\ \overline{\left( \cfrac{z}{w} \right)} &=& \cfrac{\overline{z}}{\overline{w}} \\\\ \end{eqnarray*}

複素数平面の基礎計算公式は、どれもシンプルで簡単に覚えられるものばかりです。
覚えるのに苦労はしませんが、一度は自分の手を動かして証明してみるとよいかと思います。

【複素数平面】複素数平面の共役複素数に関する公式

複素数の絶対値

複素数z, ~wに対し、

    \begin{eqnarray*} |zw| &=& |z||w| \\\\ \left| \cfrac{z}{w} \right| &=& \cfrac{|z|}{|w|} \\\\ \end{eqnarray*}

これも非常にシンプルですが、一度は手を動かして導出してみましょう。

【複素数平面】複素数の絶対値に関する公式

複素数の極形式

z_1 = r_1(\cos \theta_1 + i\sin \theta_1), ~z_2 = r_2(\cos \theta_2 + i\sin \theta_2)のとき、

    \begin{eqnarray*}z_1z_2 &=& r_1r_2(\cos(\theta_1 + \theta_2) + i\sin(\theta_1 + \theta_2) ) \\\\\cfrac{z_1}{z_2} &=& \cfrac{r_1}{r_2}(\cos(\theta_1 - \theta_2) + i\sin(\theta_1 - \theta_2) ) \\\\\end{eqnarray*}

複素数の表現方法は、直交座標系の点 (x, y) を一対一に対応させた x+yi によるものと、極形式 r(\cos \theta + i\sin \theta) によるものがあります。

極形式に対する公式は特に重要ですので、しっかり理解しておきましょう。

【複素数平面】極形式で表された複素数の積と商の公式の証明

複素数の偏角の求め方

複素数 z=a+b~i の偏角を \theta とすると、

    \begin{eqnarray*} \tan \theta = \cfrac{b}{a} \end{eqnarray*}

が成立します。

複素数を扱うことのメリットの一つとして、簡単に回転を扱えるようになるという点は大きいでしょう。

複素数平面上において実軸の正の部分と複素数と原点を結ぶ線分とのなす角を偏角といい、偏角により回転角を扱います。

【複素数平面】複素数の偏角の求め方

複素数の偏角の公式

    \begin{eqnarray*} arg ~(z_1z_2) &=& arg ~(z_1) + arg ~(z_2) \\\\ arg ~(\cfrac{z_1}{z_2}) &=& arg ~(z_1) - arg ~(z_2) \\\\ \end{eqnarray*}

かけ算は足し算に、割り算は引き算になるので、偏角は対数の和対数の差と同じように計算すれば良いということになります。

【複素数平面】複素数の偏角の公式

ド・モアブルの定理

整数nについて、

    \begin{eqnarray*} (\cos \theta + i\sin \theta)^n &=& \cos n\theta + i\sin n\theta \\\\ \end{eqnarray*}

ド・モアブルの定理は複素数の極形式のn乗に関する式であり、ド・モアブルの定理を利用すると複素数の累乗や、三角関数の2倍角3倍角といった n倍角を簡単に求めることができます。

【複素数平面】ド・モアブルの定理の証明

複素数の図形への応用

公開までしばらくお待ちください。

複素数平面の公式のまとめの終わりに

複素数という得体の知れないものは、実は今までに学習した三角関数指数・対数関数と密接に結びついています。
そう考えると複素数を、少し身近なものに感じられるかもしれませんね。

数学IIIの目次

プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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