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学校や塾では教えてくれない、元塾講師の思考回路の公開

勉強の前に

正しい暗記数学の方法と暗記数学の限界

正しい暗記数学の方法と暗記数学の限界

数学は暗記科目なのかどうかについて、今までネット上などでも多くの議論がされてきました。

これについての私個人の見解としては、その学習者の到達レベルによって数学が暗記科目であるかどうかは変わるものと考えています。

また、到達レベルに応じて適切な暗記の仕方も変わります。

各教科で同じようにしっかり暗記したのに、数学だけ成績が伸びないなんてことになっていませんか?

ここでは、巷でよく言われる「暗記数学」についてのお話しをしていきたいと思います。

暗記数学とは

まず、暗記数学とは何か確認しておきましょう。

暗記数学(あんきすうがく)とは、実際の入試問題を解くにあたってまず必要な解法パターンを理解・暗記し、既知の解法を組み合わせることによって問題を解く、数学の勉強法のことである。この暗記数学に関しては教育関係者を巻き込んで賛否両論が起こった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%97%E8%A8%98%E6%95%B0%E5%AD%A6

ここで重要なのは、「必要な解法パターンを理解・暗記し」という部分になります。

ただ暗記すればいいのではありません。

解法パターンを理解し暗記することが暗記数学というものなのです。

数学が苦手だと感じている方ほど、問題をそのまま暗記しようとしてしまっているのではないでしょうか?

確かに問題そのもの(場合によっては途中計算自体も)を丸暗記してしまえば、その問題は解くことができるでしょう。

しかし、実際の入試問題では過去に解いたことがある全く同じ問題が出題されるということはほぼありません。

一方、過去解いたことがある問題と似たような問題が出題されることは珍しくありませんので、そのような問題に対し、過去解いたことのある解法パターンを当てはめていくということが暗記数学の本来意味するところとなります。

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実は暗記数学は、「ある程度数学の実力がある方に、ある程度難しい問題に対応できるようにするためのもの」です。

決して数学が苦手な方を対象としているわけではないことに注意してください。

次節で、習熟度ごとの対策についてお話ししていきます。

【ケース1】学校のテストで苦戦してしまう方へ

学校のテストで苦戦してしまう方は、解法パターンというもの自体が何なのかしっくりこない方も多くおられることかと思います。

ここでは、解法パターンというものは無視しましょう。
理解できていなくても構わないので、とにかく教科書の例題を丸暗記しましょう。

ここでの丸暗記は途中計算の数字や問題文を丸暗記しましょうという意味ではありません。
どのような流れで問題が解かれているのかを丸暗記してください。

そもそも学校のテストでは、授業中に学習した内容に近い内容(数字設定が違うだけ)の問題が出題されることが一般的かと思います。

よって、理解をせずに問題の解き方を丸暗記しただけだとしても、学校のテストの問題は解けるようになるはずなのです。

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もちろん丸暗記せず理解に努めた方が良いですが、それが難しい場合も多いでしょう。
ですから丸暗記でも構いません。

まずテストの点として結果が出なければやる気もおきないでしょうし、解法パターンの暗記というのはまだ先のレベルの話です。
頑張れば確かにテストの点数が上がるということを体験してみてください。

【ケース2】学校のテストの問題は解けるが、しっかり理解はできていない方へ

先述のとおり、学校のテストはその問題を理解できていなくても解けてしまいます。

学校のテストを解くために丸暗記で対処している方は、模試や過去問に対して暗記数学の限界を感じてしまっているかもしれません。

しかしこのような方は、本来の暗記数学とは異なった意味での暗記を行っている状況と言えます。

暗記数学の根本は解法パターンの暗記であり、決して丸暗記することが暗記数学ではありません。

ですから、この段階でも解法パターンを意識する必要はありません。

そもそも学校のテストが解けているので問題意識を感じにくい状況ではありますが、勉強の方法を変える必要があります。

この段階では「暗記」ではなく「理解」に重点を置くようにしましょう。

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丸暗記した内容に対して、なぜそのようになるのかを他人に説明できるようになることを目標としましょう。

解法パターンを蓄積するには問題に対する理解が不可欠となりますので、その準備段階として暗記した解き方の意味を正しく理解するということに努めましょう。

丸暗記でなくちゃんと理解できていると言える状態かどうかは、証明ができるかどうかがもっともわかりやすい線引きになるかと思います。

証明との付き合い方に関しては下の記事を参考にしてください。

数学の公式は丸暗記しちゃダメ!公式は覚えるものではなく「証明」して作るものです

【ケース3】学校のテストの問題をしっかり理解して解けているが、模試や過去問を解くことができない方へ

暗記数学が有効に働く対象は、このレベル以上の方からになると私は考えています。

この段階で重要なことは、解法パターンの暗記です。

模試や過去問では、今まで解いたことのないような問題が出題されることもあるでしょう。

しかし、それはまだ経験値の少ない初学の段階に限られます。

当然ながら、ある程度の経験を積むことにより、解いたことのあるような問題というのは増え続けます。

そしてそれによって必然的に、解いたことのないような問題は減り続けるのです。

これが暗記数学でいうところの解法パターンの蓄積に該当します。

過去に解いたことのあるような問題にあたれば、その時と同じように進めれば良いのです。

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同じような進め方で問題を解くことができなければ、それは別の解法パターンに該当すると考え、諦めてしまいましょう。

諦める代わりに解説を読み、理解し、解法パターンとして自分の記憶の中にしっかり蓄積しておきましょう。

学校のテストの問題をしっかり理解できている方にとって、未知に見えた問題の解説の内容自体は、既知のものだけで作られていることに気づけるレベルにまで達しているはずです。

その意味で、未知の問題は実は既知なのです。

未知の問題を過去の類題と結びつけ、既知の問題に変えてしまうことができれば、正しく暗記数学ができているといって良いでしょう。

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そもそも本当に未知の問題の解決方法をその場で考え対処するというのは、大変に無理があることなのです。
それはあなたにとって、数学ができていると見える方にとっても同じです。

未知の問題に見える問題は既知の問題に変換することができ、それは過去の解法パターンからの紐付けによって行われています。

「こういうときはこう解決すれば良い」ということをパターンとして暗記し、紐付けを行えるようにしましょう。

暗記数学の限界

さて、数学の習熟度ごとに変化する学習内容の重点をお話してきましたが、今一度おさらいましょう。

解き方の流れを丸暗記 → 理解 → 解法パターンの暗記

となります。

よく暗記数学には限界があるとか、数学は暗記科目ではないと言われますが、解法パターンの暗記自体は非常に有効な問題解決方法であると私は考えています。

もちろん、過去の解法パターンにあてはまらない問題が出題された場合には、その問題を解くことは難しいでしょう。

しかし、解法パターンの暗記に頼っていなければその問題は解けたのでしょうか?

何に頼ればその問題が解けるようになるのでしょうか?

少なくとも何の手立てもなく問題に立ち向かうよりは、「暗記数学」という手立て一つでもあった方がいいに越したことはないのです。

また、数学はもともと数珠つなぎの学問です。
この公式とこの公式を使えば新しい別の公式が生まれるといったように、すでにわかっている事柄の組み合わせで議論が展開されていきます。

ですから、この場合はこうすると解けるといったパターンをいくつも持っておき、それらを組み合わせれば別の問題が解けるはずだという考え方はごく自然なものだと言えるでしょう。

問題が解けないときは、解法パターンの蓄積が足りない、解法パターンの組み合わせがよくない、などといった明確な理由に落ち着き、今後の対応方法に迷うことも少ないものと思われます。

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正しい暗記数学に限界があるとすれば、暗記数学をしていなくても同様に限界を迎えてしまうものと思われます。

暗記数学の弊害

暗記数学に弊害があるとすれば、暗記数学というその名前から、なんでもかんでも暗記するべきだとの誤解から生まれるものなのではないでしょうか?

なんでもかんでも暗記で対処してしまった場合は、学校のテストは解けても模試や過去問には歯が立たないといった状況になってしまう可能性が高いものと思われます。

今の自分の力量を見極め、そのときどきに応じた適切な勉強を行うことが数学に限らず重要だと言えるでしょう。

暗記数学の説明のおわりに

いかがでしたか?

暗記数学の限界は間違った暗記数学を行った場合に訪れますので、なんでもかんでも暗記で対処するということのないようにしましょう。

そして正しい暗記数学は、決して数学が苦手な方へ向けられたものではありません。

今の自分に必要なことが暗記なのか、理解なのか、何を暗記すべきなのか、この記事が道しるべとなれば幸いです。

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