勉強の前に

勉強する意義がわからない方へ

誰しも一度は勉強する意義について考えたことがあるかと思います。

毎日学校に行って、毎日宿題をやって、こんなに毎日勉強して何の意味があるのでしょうか?
何の役にも立たないことをさせられているのでしょうか?

これについての私なりの考えを、私自身の子供の頃の話も織り交ぜつつ考えをお話ししていきます。

どうやら勉強しておいたほうがいいらしいので勉強する

私は、親から勉強しなさいと言われなくても自分から勉強する子供でした。
かといって、勉強熱心で積極的な子供だったかというと実はそんなことはありません。

学校では掃除や体育や休みの時間もありますが、多くの時間は勉強に対して費やされます。
毎日多くの時間を割いてでも勉強をさせられるわけですから、「どうやら、こどもというものは勉強をした方が良いらしい」ということを肌で感じていたのです。

言ってみればとても受動的な勉強の仕方をしていました。
勉強する意味などはまったく考えず、とりあえずやったほうが良さそうだからという理由で勉強していました。

例えば、三角形の面積なんて求めて何の意味があるのか、なんてことは当然考えていません。
三角形の面積の求め方を教わり、使えるようになり、テストで正解できればいいとだけ思っていました。
テストの成績が良ければ誰からも文句を言われる筋合いはないですし、こどもとしての義務を果たしているような気分にもなれます。

勉強を頑張ることによって将来どう役に立つかなんて先のことは考えていません。

学校や先生が要求してくることは勉強であり勉強の成果を測るものがテストなので、テストで一定の成績をとり続けていればそれで良く、あとは何も気にせず遊んでいられるのです。
そういった意味では、心おきなく遊ぶために勉強していたとも言えるでしょう。

そのような感覚で少年時代を過ごしていました。

勉強したことが実社会でいかに役に立っていようがそれを実感する事は難しい

勉強を頑張ることによって将来どう役に立つかということは考えていませんでしたし、先生も将来どう役に立つかという事を教えてくれなかったように思います。

しかし実は、教科書内に含まれているトピックなどの項で、対象の単元が実社会に役立っている例が紹介されていますので、教わっていないというわけではないのです。
ただ、それを授業で大きく取り上げるわけではありませんし、ちらっと目にしたとしても「へぇ、そんなこともあるのか」程度で通り過ぎてしまうのではないでしょうか。私もそうでした。

振り返ってみると、その程度の感想しか持たなかったのは「今の自分には実感できないから」ということに尽きると思います。

子供なので当然ながら知識や情報量が乏しく、そもそも後先のことを考える能力自体も発展途上ですので、実社会で起きていることを自分ごとで考えること自体がとても難しいわけです。

だから、勉強は役に立つだろうとは思えても、「なんとなく」役に立つのだろうくらいにしか感じることができません。

よって、残念であり単なる大人の怠慢なのかもしれませんが、いかに力を尽くして「勉強することに対する心底納得できる意味」を与えようとしても、それがこども達に響くかというとなかなか難しいものがあると思います。

勉強する意味は勉強した後でわかる

前の章でお話ししたことを、簡単な方程式の具体例で考えてみましょう。

数学では「ある事実」を基にして、新しい「ある事実」が生み出されるという特性があります。

例えば、a = bという事実に対し、b = cという事実が追加されたとします。
このとき、a = cという新しい事実が生み出されます。

このように、新しい事実というものは、既存の事実の積み重ねでできています。

より身近な場面で考えてみましょう。
a = bを中学一年生で、b = cを中学二年生で習うものとします。

「a = b は a = cであることを求めるために必要なんだよ」と説明されても、中学一年生の段階ではb = c を学習していないので、この説明に納得することは当然できませんし、a = bを学ぶ意味も見出せません。

しかし、中学二年生になりb = c を学んだ時、中学一年生で習ったa = bという事実と併せて、「a = b と b = c という事実から a = cという事実が成立するんだよ」と説明されれば、a = cであることに納得できるでしょうし、a = b と b = cを学ぶ意味があったのだと初めて感じられることでしょう。

このように、既存の事実を使って新しい事実を得るまでは、既存の事実は役に立たないものに見えてしまうものなのです。

結果的には、新しい事実を得るために既存の事実が役立ったのですから、既存の事実を学ぶ意味は確かにあった訳です。
しかし、新しい事実を学ぶ意味はあるのでしょうか?
その新しい事実が何の役に立つのでしょうか?
a=cが成立することがわかったとして、それが何の役に立つのでしょうか?

答えはわかりません。
結果的に役に立ったa=bについても、a=bを学んだ当初は意味を見出すことができなかったのですから、意味があるか、役に立つかどうかは後になってからでないとわからないものなのです。

なので、皮肉な話ですが勉強をしているときには勉強することの意味はわからないということになります。

どのような心構えで勉強に取り組めば良いの?

勉強する意味を考えても今はわからないのですから、意味は考えない方が良いのです。

むしろ、あれこれ勉強する理由を考えすぎたりしてしまって勉強すること自体をやめてしまったり、きちんと順番通りに学習できなかったりしたほうが後々苦労を強いられてしまうわけです。

私の場合は早く終わらせて遊びたい一心で勉強していただけなので、意味を考えることもなく、ただ要求されたことをこなし続けました。

その結果、大人になった今では勉強する意味はおおいにあると思えますし、勉強することの意味についての持論をこうして語らせてもらうこともできるようになりました。

これは受動的に勉強していたからこその結果だと今では思っています。

意味もなく役に立つわけでもないことを未来あるこども達に教えているわけでは決してありませんので、あれこれ考えずにとりあえず鵜呑みにして勉強することをおすすめします
心配の必要はありません。

勉強する意義がわからない方へ

まとめますと、勉強する明確な意義を求めてここを見てくださった方には申し訳ないのですが、
勉強する意義がわからないのは当然の事なのです。

大変なことなのですが、今は耐え忍んで勉強を頑張りましょう。
何の役に立つかは後でわかるようになりますし、勉強を頑張っていてよかったと思えるときが必ず訪れます。

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プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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