【基礎知識】乃木坂46の「いつかできるから今日できる」を数学的命題として解釈する
- 命題
基礎知識
勉強の前に
ここでは当サイトのテーマでもある「数学を勉強して何の意味があるのか?」というお話をしていきたいと思います。
数学に限らず、勉強する事自体への疑問を持たれている方は下の記事をご参考ください。
なぜ勉強しなきゃいけないの?
勉強する意義がわからない方へ
勉強する意義がわからない方へでも述べていますが、残念ながら、勉強する意義がわからないのは当然の事であり、それは教科によらず同じ事です。
しかしながら、私なりの数学を勉強する意義について弁を尽くしてみたいと思います。
目次
結論からお話ししますと、数学を学ぶ意義は、問題を解決する方法と能力を身につけることです。
たったそれだけです。
もちろん、数学を使う仕事に就いたりするなら、数学に対する深い知見を身につけることが数学を学ぶ意義になります。
しかし、数学は仕事でも一切使わないという方にとっては、問題を解決する方法と能力を身につけることが数学を学ぶ大きな意義となるでしょう。
詳しくお話ししていきます。
実社会で起こり得る問題と比較すると、学校で学習するレベルの数学の問題はとても簡単であり、しかも実は両者の問題の解決方法は同じです。
ですから、実社会で起こり得る問題を解決するためには、まずは数学の問題が解決できなければなりません。
簡単な数学の問題を解決することを通じて、難しい実社会の問題を解決できる能力を身につけることが数学を学ぶ意義となります。
全てのものはなんらかの部品の組み合わせでできており、発生した問題は「部品」をどのように扱うかによって解決されます。
例えば、会社で仕事を進める際には、〜部とか、〜課といったようなチームを作ります。
一つ一つの部署が会社にとっての部品であり、一人一人の人間は所属するチームの部品と言えるでしょう。
細かい部品をうまく機能させることにより、会社という大きな組織の運営が成り立つわけです。
マスマスターの思考回路
同様に、数学の問題では数字や文字や図形が一つ一つの部品と言え、それらを駆使することで問題の解決に至ります。
このように、全てのものは部品であり、何かを成し遂げていくには一つ一つの部品をどう扱うかが重要になるのです。
マスマスターの思考回路
実社会の問題も数学の問題も、部品の組み合わせによって成り立っています。
部品の扱い方は問題を構成する部品によって異なりますが、部品をどう扱うかによって問題は解決されるということは問題の種類によりませんので、実社会の問題も数学の問題も本質的には解き方は同じなのです。
人間はチームにとっての部品であり、部品が人間なのですから思った通りに動かないこともあるでしょう。
一方、数学の部品である三角形について、三角形の面積は底辺 × 高さ ÷ 2 です。
面積を求めたければ、底辺 × 高さ ÷ 2 をすればいいのです。
数学の部品には、人間のように急用ができたり、遅刻したり、欠席したり、寝不足で仕事が手につかなかったり、といったことは起きません。
つまり、数学で扱うところの部品は想定外の動きをしませんので、その意味ではとても扱いやすい簡単な部品だと言うことができるのです。
世の中に実際に存在しているある製品には老朽化や故障のリスクが伴ったり、あるサービスは時代とともに不要になったり、法改正によって形を変えなければならないこともあるでしょう。
実社会に存在している何らかは、それ単体で永久に形を変えずに存在し続けることはできないのです。
それゆえに難しく、対処しなければならないことが必ず発生し続けます。
数学の部品にはそのような難しさはありません。
三角形の面積は何があろうがいつの時代であろうが、底辺 × 高さ ÷ 2 なのですから。
マスマスターの思考回路
数学の問題で扱う部品は非常に扱いやすく簡単で、想定外の動きもしません。
よって、人間が部品となっている問題よりも、数学の問題は簡単だという事です。
実社会で発生する問題と比較すると、学校で習うレベルの数学は非常に簡単だと言えます。
それは、数学においては、部品自体だけでなく問題自体も簡単だからです。
実社会の問題には物理的要因、社会的要因問わず様々な不確定要因があり、中には予測や計算自体が不可能なものもあります。
その問題だけでなく、周辺の様々な要因を考慮したうえで問題の解決に取り組まなければなりませんので、必然的に問題自体が難しくなります。
それに対し数学の問題では、数字や図形や条件が紙の上に与えられ、そこに書かれた内容だけが考慮対象となります。
紙の上が全てですので、外から不確定要因が入り込む余地はありません。
その問題を解けば良いだけです。
マスマスターの思考回路
実社会の問題では「今まではそうだったがこれからは違う」といったことや、「車の開発により便利になったが、温室効果ガスの問題が生まれた」いうことが平然と起こります。
変化に対し柔軟に、ときには未来を予測したうえでの対応が求められますし、問題の解決が新たな問題を産むこともあるでしょう。
しかし数学の問題では柔軟な対応や未来予測は不要であり、目の前の問題だけを考慮対象とすれば良いのです。
だから数学の問題は簡単だと言えるのです。
数学はよく、答えが一つになるから好きとか嫌いとか言われることがありますが、ここでは好き嫌いの議論は置いておきましょう。
数学は、簡単だから答えが一通りになるのです。
マスマスターの思考回路
実社会の問題の解決方法がたった一通りだけしかないということはそう多くはないでしょう。
様々ある解決方法のうち、最も適切だと思われる方法を判断していかなければならず、それこそが非常に難しいのです。
悩み抜いた末、選んだ方法が最適だったかどうかは歴史を振り返らなければわかりません。
結果論に委ねられる部分が大きいので、もはや何が答えかすらわからないと言っていいでしょう。
その意味では数学のように答えが一つしかない問題は、それはむしろ簡単だからだとも言えるでしょう。
実社会の問題は様々な問題が複雑に絡み合ってできており、しかもそのそれぞれが難しいものです。
しかし、数学の問題にはそのような事はありません。
一般に大問1と大問2は無関係ですし、それぞれの問題も非常に明確で、しかも答えはただ一つです。
難しい問題(=実社会の問題)を解くためには、まず簡単な問題(=数学の問題)が解ける必要がありますよね?
だからこそ数学を学ぶ必要があるのであり、その過程で得られる問題解決の方法を学ぶ事こそ数学を学習する意義となるわけです。
マスマスターの思考回路
問題を解決するという意味において、実社会の問題も数学の問題も変わりはなく、問題解決の方法も同じです。
まずは、簡単な問題(=数学の問題)を解決することを通じ、実社会の問題を解決できる能力を身につけていきましょう。
実社会でなんらかの行動を行うときに必ずついてまわるのが、それをやって何の役に立つのかという議論です。
一般に人はお金を稼ぐ必要があるので、営利活動を行います。
営利活動というと聞こえが厳かですが、社長や経営者といった立場でなくとも、何らかの所得を得ている者はみな営利活動者に該当します。
営利活動の目的は利潤を得ることですが、利潤を得るためには誰かからお金をもらう必要があります。
お金を払う側からすると、それに対してお金を払う価値があり、お金を払ってでもその商品やサービスが欲しいのでお金を払うという構造になります。
誰かがそれを欲しており、それを提供できているならそれは人の役に立っていることになります。
逆に人の役に立たないようなことをしても誰もお金を払ってはくれないので、人の役に立たなければ営利活動を続けることはできません。
一般に人は営利活動を行う必要に迫られますので、大抵の方は人の役に立たなければならないということになります。
人の役に立つための行動は、その行動によって関連する様々な人や組織との利害関係を考えたりしなくてはならず、ただ問題を解く(=解決する)だけでいいという簡単なものではないのです。
数学の問題を解いている間はただその問題だけを考えていればよく、得られた答えが役に立つかどうかを考える必要はありません。
数学の問題では与えられた条件のもとで、良い意味で机上の空論として完結させても構わないのです。
マスマスターの思考回路
営利活動における最大の目的は利潤を産む事なので、営利活動上の問題はただ解決すれば良いというものでなく、有益性が常につきまとうとても難しい問題なのです。
一方、数学は問題自体が簡単なうえに、答えの有益性についても不問ですので、問題としてとても簡単なのです。
とても簡単な問題なのですから、問題解決の練習のとしてうってつけの題材となるのです。
マスマスターの思考回路
数学を勉強する事が無意味に見えるからこそ、数学を学ぶ意義があると言えるでしょう。
意味や利益から解放された、純粋な問題の解決方法を学べるのですから。
さて、人は生活のために働いてお金を稼ぎますが、お金をもらうには人の役に立たねばならず、人の役に立つには教育が必要です。
すると、教育を受ければお金が稼げるようになるということなのですが、学校教育を受けている最中にはお金はもらえませんよね?
ですから学校教育は、人の役に立てるようになるまでの役割を担うものという位置付けになるわけです。
しかし、皆さんが学校で教わった内容で、これは人の役に立つことだと実感できる場面は残念ながらほとんど無いでしょう。
数学の勉強をして役に立つのでしょうか?
数学の問題を解いて答えがわかったとして、誰の役に立つのでしょうか?
実際のところ、「それ自体」は誰の役にも立ちません。
しかし、数学を学ぶ過程で「部品」の扱い方を学び、「この問題ならこの部品をこうすれば解決するだろう」といった数学的な思考力を身につけることができます。
これこそが数学を学ぶ最大の意義なのです。
「三角形の面積を求めて何の役に立つの?」などという視点に立ってはいけません。
学校で習う大抵の事はすぐには役に立ちません。
役に立つかどうかではなく、その三角形の面積がそれであるときに、「次に何を論じることができるか」ということに重きをおいてください。
既存の事実は新たな事実を知るための部品にすぎませんから、その部品を使って新たな事実を探してください。
その繰り返しで数学の問題、ひいては実社会の問題をも解決に導くことができるようになります。
実際に数学そのものが直接的に必要となる仕事の方が少ないと思いますが、それでも数学を学ぶことの利点はとても大きいものなのです。
マスマスターの思考回路
数学自体が大切なのではなく、数学的に物事を対処するということが大切であり、それはどんな仕事に就こうが変わりません。
全てのものは部品の組み合わせであり、部品を適切に扱うことによって問題が解決されるという事は、どんな仕事のどんな問題についても同じなのですから。
実社会に発生している種々の問題は、ただ一つの解決方法や答えしかないというわけではなく、そもそも答え自体が用意されていないということも多くあります。
毎日のニュース番組やワイドショーでの議論を見ていると、そのように感じられませんか?
そして、多くの人間が共有している問題について自分なりにこれが答えであるということを納得してもらうためには、それに関係する人間を説得する必要があります。
他人を説得したいときには、数学で学ぶ「証明」という手段をそのまま適用することが可能です。
今どのような状況なのか、その状況下で何が言えるか、その先にある結論は何か、ということを順序よく組み立てていくことによってそれは成し遂げられるでしょう。
答えが必ず用意されており、解き方も教えてくれている学校の勉強というものは、実社会の問題を解決するよりもはるかに簡単です。
よって、学校の勉強の問題が解けないようでは、実社会の問題を解決することはできません。
学校の勉強は、それよりも難しい実社会の問題を解くためにあると私は考えています。
皆さんはそのために、まずは答えが決まっている簡単な問題を通じて、問題全般に対する解決方法を学んでいる途中段階にいるのです。
そのように考えれば、無意味に見えるかもしれない学校の勉強に対する見方も変わってくるかもしれませんね。
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-このサイトの記事を書いている人-
某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。
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さらに言うと、会社は国家に税金を納める義務がありますので、国家の部品と言ってもいいでしょう。
全てのものは部品の集合であり、それ自身も部品なのです。