【基礎知識】乃木坂46の「いつかできるから今日できる」を数学的命題として解釈する
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基礎知識
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等差数列の和や等比数列の和の公式で見てきたように、数列の和は、初項、交差、公比、といった一般項を決定するための条件を用いることによって求めることができました。
ここではそれとは逆に、数列の和から一般項を求めるような場合を、具体例を通して見ていきたいと思います。
例題 : 初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ が $S_n = 2n^2 – 3n $ となる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。
マスマスターの思考回路
$S_n$ は初項から第 $n$ 項までの和なので、
$$\begin{align} S_n &=& a_1 + a_2 + \cdots + a_{n-1} + a_n \\ \end{align}$$と表すことができ、初項から第 $n-1$ 項までの和($=S_{n-1}$)を考えると、
$$\begin{align} S_{n-1} &=& a_1 + a_2 + \cdots + a_{n-1} \\ \end{align}$$となります。
(1)式から(2)式を引くと、
$$\begin{array}{rcl} S_n – S_{n-1} &=& a_n \\\\ a_n &=& S_n – S_{n-1} \\ \end{array}$$が成り立つことが分ります。
マスマスターの思考回路
$S_n$ は初項から第 $n$ 項までの和なので、 $S$ の添字は1以上の整数でなければなりません。
しかし今 $S_{n-1}$ という和を考えており、その添字 $n-1$ が1以上の整数でなければならないので、 $n \geqq 2$ が $a_n = S_n – S_{n-1}$ という式を扱ううえでの前提となることに注意しましょう。
$n=1$ のときは、 $S_n$ は初項から第 $1$ 項までの和(つまり初項そのもの)なので、 $a_1 = S_1$ として求めることができます。
$n \geqq 2$ のとき、
$a_n = S_n – S_{n-1} \\$
$= (2n^2 – 3n ) – \{ 2(n-1)^2 – 3(n-1) \} \\$
$= 2n^2 – 2(n-1)^2 – 3n + 3(n-1) \\$
$= 2\{n^2 – (n-1)^2\} – 3\{n – (n-1)\} \\$
$= 2\{n – (n-1)\} \{n + (n-1)\} – 3\{n – (n-1)\} \\$
$= \{n – (n-1)\} [2 \{n + (n-1)\} – 3] \\$
$= 2(2n-1) – 3 \\$
$= 4n-2 – 3 \\$
$= 4n-5 \\$
$n=1$ のとき、
$$\begin{array}{rcl} a_1 &=& S_1 \\\\ &=& 2\cdot 1^2 – 3\cdot 1 \\\\ &=& 2 – 3 \\\\ &=& -1 \\\\ \end{array}$$$a_1=-1$ という結果は、$n \geqq 2$ のときにのみ成立することが保証されている
$$\begin{array}{rcl} a_n &=& 4n-5 \\ \end{array}$$という式に $n = 1$ を代入した結果($-1$)に一致するので、
$n \geqq 1$ のとき、数列 $\{a_n\}$ の一般項は
$$\begin{array}{rcl} a_n &=& 4n-5 \\ \end{array}$$となります。
マスマスターの思考回路
$a_n = 4n-5$ に $n=1$ を代入した結果と $S_1$ の計算結果が一致したのは、「たまたま」であると認識することが重要です。
$n \geqq 2$ のときに成立する $a_n = 4n-5$ が、$S_1$ を計算することにより $n=1$ のときにも成立することがわかったので、結果的に $n \geqq 1$ のときに $a_n = 4n-5$ が成立すると結論づけられるということになります。
$n=1$ が例外となる問題を次の例題で見てみましょう。
例題 : 初項から第 $n$ 項までの和 $S_n$ が $S_n = 2n^2 – 3n + 1 $ となる数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。
マスマスターの思考回路
例題2は例題1の $S_n$ に $1$ が足された問題となります。
$n \geqq 2$ のとき、
$a_n = S_n – S_{n-1} \\$
$= (2n^2 – 3n + 1) – \{ 2(n-1)^2 – 3(n-1) + 1 \} \\$
$= 2n^2 – 2(n-1)^2 – 3n + 3(n-1) \\$
$= 2\{n^2 – (n-1)^2\} – 3\{n – (n-1)\} \\$
$= 2\{n – (n-1)\} \{n + (n-1)\} – 3\{n – (n-1)\} \\$
$= \{n – (n-1)\} [2 \{n + (n-1)\} – 3] \\$
$= 2(2n-1) – 3 \\$
$= 4n-2 – 3 \\$
$= 4n-5 \\$
$n=1$ のとき、
$$\begin{array}{rcl} a_1 &=& S_1 \\\\ &=& 2\cdot 1^2 – 3\cdot 1 + 1 \\\\ &=& 2 – 3 + 1 \\\\ &=& 0 \\\\ \end{array}$$$a_1=0$ という結果は、 $n \geqq 2$ のときにのみ成立することが保証されている
$$\begin{array}{rcl} a_n &=& 4n-5 \\ \end{array}$$という式に $n = 1$ を代入した結果($-1$)に一致しないので、
数列 $\{a_n\}$ の一般項は
$n = 1$ のとき、
$$\begin{array}{rcl} a_1 = 0 \\ \end{array}$$$n \geqq 2$ のとき、
$$\begin{array}{rcl} a_n &=& 4n-5 \\ \end{array}$$となります。
いかがでしたか?
ポイントは $a_n = S_n – S_{n-1}$ という式を用いることと、それは $n \geqq 2$ のときに限られ $n=1$ のときは別途確認の必要があることの2点になります。
$n=1$ のときは例外扱いとなるのは階差数列を用いて一般項を求めるときと同様の理由ですので、そちらも改めて確認しておきましょう。
【数列】数列のまとめ
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-このサイトの記事を書いている人-
某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。
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問題を解く前に、方針の説明をしておきましょう。
数列の和から一般項を求める問題は、 $a_n = S_n – S_{n-1}$ という式を利用することによって解決することができます。