解法

【早稲田大学の入試問題を解説!】2018年度入試 基幹理工・創造理工・先進理工 数学[Ⅳ]

2018年度 早稲田大学 基幹理工・創造理工・先進理工 入試 数学[Ⅳ]
の解説を行います。

それでは問題を見てみましょう。

2018年度早稲田大学 基幹理工・創造理工・先進理工 入試 数学[Ⅳ]

2018年度 早稲田大学 基幹理工・創造理工・先進理工 入試 数学[Ⅳ](1)

マスマスターの思考回路

素直に微分しましょう。

(1)   \begin{eqnarray*} f'(x) &=& (e^x)'(\cos x + \sin x)+(e^x)(\cos x + \sin x)' \\\\&=& e^x(\cos x + \sin x)+e^x(-\sin x + \cos x) \\\\&=& 2e^x\cos x \\\\ \end{eqnarray*}

2018年度 早稲田大学 基幹理工・創造理工・先進理工 入試 数学[Ⅳ](2)

(i)について

マスマスターの思考回路

極値を求めるために、g'(x)=0となるxの値を求めましょう。

    \begin{eqnarray*} g'(x) &=& (e^{-\pi x})'\sin \pi x + e^{-\pi x}(\sin \pi x)'\\\\&=& -\pi e^{-\pi x}\sin \pi x + e^{-\pi x}\pi\cos \pi x\\\\&=& -\pi e^{-\pi x}(\sin \pi x - \cos \pi x) \\\\ \end{eqnarray*}

マスマスターの思考回路

-\pi e^{-\pi x}は指数関数であることから0となることはありませんので、極値を持つことを前提とすれば、それは\sin \pi x - \cos \pi x0のときに限られます。
\sin \pi x - \cos \pi xは多項式ですので、g'(x)=0となる値を求めにくい状況となっています。そこで、三角関数の合成を行い単項式化しましょう。

    \begin{eqnarray*} g'(x) &=& -\pi e^{-\pi x}(\sin \pi x - \cos \pi x) \\\\&=& -\sqrt{2}\pi e^{-\pi x}\sin (\pi x -\cfrac{\pi}{4} ) \\\\ \end{eqnarray*}

g'(x)=0となるのは、nを整数として、\pi x -\cfrac{\pi}{4} =n\piとなるときですので、つまり、

(2)   \begin{eqnarray*} \pi x -\cfrac{\pi}{4} &=& n\pi \\\\\pi x &=& n\pi + \cfrac{\pi}{4}\\\\x &=& n + \cfrac{1}{4}\\\\ \end{eqnarray*}

のときとなります。

マスマスターの思考回路

\sin (\pi x -\cfrac{\pi}{4})xについて周期2の関数ですので、0 \leqq x \leqq 2のときは、(2)式よりn=0, ~1のとき、つまりx=\frac{1}{4}, ~\frac{5}{4}~のとき、g'(x)=0となります。
各周期ごとに同様にg'(x)=0となるxの値が存在しますので、これを一般化します。

整数kを用いて、2k \leqq x \leqq 2k+2のときの増減表を作成すると次のようになります。

    \begin{eqnarray*} \begin{array}{c||c|c|c|c|c|c|c} \hline x&2k&\cdots&2k+\cfrac{1}{4}&\cdots&2k+\cfrac{5}{4}&\cdots&2k+2\\ \hline g'(x)&&-&0&+&0&-&\\ \hline g(x)&&\searrow&&\nearrow&&\searrow&\\ \hline \end{array} \end{eqnarray*}

増減表から、極大値は

    \begin{eqnarray*} g(2k+\frac{1}{4}) &=& e^{-\pi(2k+\frac{1}{4})} \sin \pi(2k+\frac{1}{4}) \\\\&=& e^{-\pi(2k+\frac{1}{4})} \sin (2\pi k+ \frac{\pi}{4}) \\\\&=& e^{-\pi(2k+\frac{1}{4})} \sin \frac{\pi}{4} \\\\&=& \frac{1}{\sqrt{2}}~e^{-\pi(2k+\frac{1}{4})} \\\\ \end{eqnarray*}

極小値は

    \begin{eqnarray*} g(2k+\frac{5}{4}) &=& e^{-\pi(2k+\frac{5}{4})} \sin \pi(2k+\frac{5}{4}) \\\\&=& e^{-\pi(2k+\frac{5}{4})} \sin (2\pi k+ \frac{5\pi}{4}) \\\\&=& e^{-\pi(2k+\frac{5}{4})} \sin \frac{5\pi}{4} \\\\&=& -\frac{1}{\sqrt{2}}~e^{-\pi(2k+\frac{5}{4})} \\\\ \end{eqnarray*}

となります。

(ii)について

マスマスターの思考回路

単純計算すれば良さそうです。
まずは式を作り、計算を進めていきましょう。

    \begin{eqnarray*} V_n &=& \int_{n-1}^n \pi \{g(x)\}^2 ~dx \\\\&=& \pi \int_{n-1}^n (e^{-\pi x} \sin \pi x)^2 ~dx \\\\&=& \pi \int_{n-1}^n e^{-2\pi x} \sin^2 \pi x ~dx \\\\ \end{eqnarray*}

マスマスターの思考回路

被積分関数に三角関数の二乗がある場合は、半角の公式を用いるのが常套手段になります。

半角の公式より、

    \begin{eqnarray*} V_n &=& \pi \int_{n-1}^n e^{-2\pi x} \cfrac{1 - \cos 2\pi x}{2} ~dx \\\\&=& \cfrac{\pi}{2} \int_{n-1}^n e^{-2\pi x} - e^{-2\pi x} \cos 2\pi x ~dx \\\\ \end{eqnarray*}

マスマスターの思考回路

\int e^{-2\pi x}~dxの計算はそのまま行うことができますが、\int e^{-2\pi x} \cos 2\pi x ~dxの計算はそのまま行うことができません。
しかし、被積分関数の式の形は(1)式に似ているので、置換積分を利用して(1)式の形に一致させるように式変形を行います。

-2\pi x = tとおくと、\cfrac{dt}{dx} = -2\piであり、xn-1 \to nのとき、t-2\pi(n-1) \to -2\pi nとなります。よって、

    \begin{eqnarray*} V_n &=& \cfrac{\pi}{2} \int_{-2\pi(n-1)}^{-2\pi n} \{ e^{t} - e^{t} \cos (-t)\} ~(\cfrac{dt}{-2\pi}) \\\\&=& -\cfrac{1}{4} \int_{-2\pi(n-1)}^{-2\pi n} e^{t} - e^{t} \cos t ~dt \\\\ \end{eqnarray*}

ここで、(1)式より、

    \begin{eqnarray*} V_n &=& -\cfrac{1}{4} \int_{-2\pi(n-1)}^{-2\pi n} e^{t} - \cfrac{f'(t)}{2} ~dt \\\\&=& -\cfrac{1}{4} \left[ e^{t} - \cfrac{e^t(\cos t + \sin t)}{2} \right]_{-2\pi(n-1)}^{-2\pi n} \\\\&=& -\cfrac{1}{8} \left[ e^t(2 - \cos t - \sin t) \right]_{-2\pi(n-1)}^{-2\pi n} \\\\&=& -\cfrac{1}{8} \left\{ e^{-2\pi n}(2 - 1 - 0) - e^{-2\pi(n-1)}(2 - 1 - 0) \right\} \\\\&=& -\cfrac{1}{8} \left( e^{-2\pi n} - e^{-2\pi(n-1)} \right) \\\\&=& \cfrac{1}{8} \left( e^{-2\pi(n-1)} - e^{-2\pi n} \right) \\\\&=& \cfrac{1}{8} ~e^{-2\pi n} (e^{2\pi} - 1) \\\\ \end{eqnarray*}

となります。

(iii)について

マスマスターの思考回路

これも単純計算で解決できそうです。
先の問題で求めたV_nを用いて計算を行いましょう。

    \begin{eqnarray*} \sum_{n=1}^{\infty} V_n &=& \sum_{n=1}^{\infty} \cfrac{1}{8} ~e^{-2\pi n} (e^{2\pi} - 1) \\\\&=& \cfrac{e^{2\pi} - 1}{8} \sum_{n=1}^{\infty} ~e^{-2\pi n} \\\\ \end{eqnarray*}

\sum_{n=1}^{\infty} ~e^{-2\pi n}は、初項e^{-2\pi}、公比e^{-2\pi}無限等比級数の和になりますが、公比は1より小さいので、その和は収束します。

よって、

    \begin{eqnarray*} \sum_{n=1}^{\infty} V_n &=& \cfrac{e^{2\pi} - 1}{8} \cdot \cfrac{e^{-2\pi}}{1-e^{-2\pi}} \\\\&=& \cfrac{e^{2\pi} - 1}{8} \cdot \cfrac{e^{-2\pi}}{1-e^{-2\pi}} \cdot \cfrac{e^{2\pi}}{e^{2\pi}} \\\\&=& \cfrac{e^{2\pi} - 1}{8} \cdot \cfrac{1}{e^{2\pi}-1} \\\\&=& \cfrac{1}{8} \\\\ \end{eqnarray*}

となります。

プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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