解法

2019年度東大入試第4問目を扱います。
それでは問題を見てみましょう。

2019年度入試 東京大学 前期日程 数学（理科） 第4問(1)

ユークリッドの互除法より、

$$\begin{array}{rcl} 5n^2+9 &=& (n^2+1)5+4 \end{array}$$

であることから、 $5n^2+9$ と $n^2+1$ の最大公約数は $n^2+1$ と $4$ の最大公約数に一致します。

nが偶数のとき

$n$が偶数のとき、$n = 2m$ ($m$ は自然数) と表すことができ、

$$\begin{array}{rcl} n^2+1 &=& (2m)^2 + 1 \\\\ &=& 4m^2 + 1 \end{array}$$

$n^2+1$ は奇数となるので、$n^2+1$ と $4$ の最大公約数は $1$ 、つまり、$5n^2+9$ と $n^2+1$ の最大公約数は $1$となります。

nが奇数のとき

$n$が奇数のとき、$n = 2m-1$ ($m$ は自然数) と表すことができ、

$$\begin{array}{rcl} n^2+1 &=& (2m-1)^2 + 1 \\\\ &=& 4m^2-4m+1 + 1 \\\\ &=& 4m^2-4m+2 \\\\ &=& 2(2m^2-2m+1) \\\\ &=& 2\{2(m^2-m)+1\} \end{array}$$

$2(m^2-m)+1$ は奇数となるので、$n^2+1$ が持つ素因数 $2$ の個数は $1$ 個となります。

よって$n^2+1$と $4$ の最大公約数は $2$ 、つまり、$5n^2+9$ と $n^2+1$ の最大公約数は $2$となります。

以上により、$n^2+1$ と $5n^2+9$ の最大公約数は、

$n$ が偶数のとき、$1$

$n$ が奇数のとき、$2$

となります。

2019年度入試 東京大学 前期日程 数学（理科） 第4問(2)

背理法により $(n^2+1)(5n^2+9)$ が整数の2乗になると仮定します。

nが偶数のとき

$n^2+1$ と $5n^2+9$ の最大公約数は $1$ 、つまり互いに素であることから、$n^2+1$ と $5n^2+9$ が共に整数の2乗にならなければなりません。

$(n+1)^2 – (n^2 + 1) \\$
$= n^2+2n+1-n^2-1 \\$
$= 2n > 0$

また、 $n^2 < n^2+1$ であることとあわせると、

$$\begin{array}{rcl} n^2 < n^2 + 1 < (n+1)^2 \end{array}$$

が成り立つので、 $n^2 + 1$ は整数の2乗となることはありません。

よって、 $(n^2+1)(5n^2+9)$ は整数の2乗とはなりません。

nが奇数のとき

$n^2+1$ と $5n^2+9$ の最大公約数は $2$ であることから、互いに素な $a, b$ を用いて、

$$\begin{align} \begin{cases} n^2+1 = 2a \\\\ 5n^2+9 = 2b \end{cases} \end{align}$$

と表すことができ、このとき、

$$\begin{array}{rcl} (n^2+1)(5n^2+9) &=& 4ab \\\\ &=& 2^2ab \end{array}$$

ここで $a, b$ は互いに素なので、 $a, b$ は共に整数の2乗とならなければなりません。

よって、 $a, b$ は互いに素な $c, d$ を用いて

$$\begin{array}{rcl} a &=& c^2 \\\\ b &=& d^2 \end{array}$$

と表され、これらを(1) 式に代入すると、

$$\begin{array}{rcl} \begin{cases} n^2+1 = 2c^2 \\\\ 5n^2+9 = 2d^2 \end{cases} \end{array}$$

上式より、

$$\begin{array}{rcl} 4n^2+8 &=& 2(d^2-c^2) \\\\ 4(n^2+2) &=& 2(d+c)(d-c) \end{array}$$ $$\begin{align} 2(n^2+2) &=& (d+c)(d-c) \end{align}$$

d+cが偶数のとき

$d+c=2m$ ($m$ は自然数) とおき(2)式に代入すると、

$$\begin{array}{rcl} 2(n^2+2) &=& 2m\{(2m-c)-c\} \\\\ 2(n^2+2) &=& 2m(2m-2c) \\\\ 2(n^2+2) &=& 4m(m-c) \\\\ n^2+2 &=& 2m(m-c) \end{array}$$

上式の右辺は偶数であることから左辺も偶数であることとなりますが、 $n$ は奇数なので $n^2+2$ は奇数であり矛盾します。

d+cが奇数のとき

$d+c=2m-1$ ($m$ は自然数) とおき(2)式に代入すると、

$2(n^2+2) = (2m-1)\{(2m-1-c)-c\} \\$
$2(n^2+2) = (2m-1)(2m-2c-1) \\$
$2(n^2+2) = (2m-1)\{2(m-c)-1\}$

上式の左辺は偶数ですが、右辺は奇数であることとなり矛盾します。

よって、 $(n^2+1)(5n^2+9)$ は整数の2乗とはなりません。

以上により、 1以上の整数 $n$ について、$(n^2+1)(5n^2+9)$ は整数の2乗とはならないことが証明されました。