高校数学マスマスター

学校や塾では教えてくれない、元塾講師の思考回路の公開

公式

【公式】二項定理について

二項定理

今まで学んだ展開公式として、中学数学で学んだ

    \begin{eqnarray*} (x + y)^2 &=& x^2 + 2 xy + y^2 \\\\ \end{eqnarray*}

や、三乗の展開公式で学んだ

    \begin{eqnarray*} (x + y)^3 &=& x^3 + 3 x^2 y + 3 x y^2 + y^3 \\\\ \end{eqnarray*}

といったものがあります。

次に問題となるのが、 (x + y)^4(x + y)^5 ですが、数字を一つずつ増やして調べていくのではきりがありませんね?

ここでは n 乗の展開、つまり (x + y)^n を計算するための方法である、二項定理についての解説を行っていきます。

二項定理とは

二項定理とは次の式のことをいいます。

    \begin{eqnarray*} && (x + y)^n \\\\ &=& {}_n \mathrm{C} _{0} ~x^{n} y^{0} + {}_n \mathrm{C} _{1} ~x^{n-1} y^{1} + \cdots + {}_n \mathrm{C} _{r} ~x^{n-r} y^{r} + \cdots + \\\\  &&{}_n \mathrm{C} _{n-1} ~x^{1} y^{n-1} + {}_n \mathrm{C} _{n} ~x^{0} y^{n} \end{eqnarray*}

マスマスターの思考回路

上の式の x^0y^0 は値としては1となりますが、定理の構造をわかりやすくするために0乗のまま表記しています。

0乗について、詳しくは指数法則を勉強しておきましょう。

二項定理の証明

二項定理の証明 (n=3のとき)

マスマスターの思考回路

(x + y)^n について考えるための準備として、 まずは (x + y)^3 について考えましょう。

(x + y)^3 はなぜ (x + y)^3 &=& x^3 + 3 x^2 y + 3 x y^2 + y^3 となるのかについてを考えます。

さらにそのための準備として、まずは (x_1+y_1)(x_2+y_2)(x_3+y_3) という式の展開結果を確認してみましょう。

    \begin{eqnarray*} && (x_1+y_1)(x_2+y_2)(x_3+y_3) \\\\ &=& (x_1x_2 + x_1y_2 + y_1x_2 + y_1y_2)(x_3+y_3) \\\\ &=& x_1x_2x_3+ x_1x_2y_3 +  x_1y_2x_3 +  x_1y_2y_3 + y_1x_2x_3 + y_1x_2y_3 + y_1y_2x_3 + y_1y_2y_3 \end{eqnarray*}

マスマスターの思考回路

上記の結果は、(x_1+y_1)(x_2+y_2)(x_3+y_3) という式の、それぞれのかっこから一つずつ x_i または y_j を合計3つ選んで作られ得る積の、全パターンの和となっています。

つまり、展開はそれぞれのかっこから項を選ぶことによって計算が行われるということになります。

このことを用いて (x + y)^3 について考えましょう。

(x + y)^3 を累乗を使わずに書き下すと次のようになります。

    \begin{eqnarray*} (x + y)^3 &=& (x + y)(x + y)(x + y) \\\\ \end{eqnarray*}

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先ほども述べたように、展開はそれぞれのかっこから項を選ぶことによって計算が行われます。

上の式で3つ続いた (x + y) について、それぞれのかっこ内の項の選び方と、それらの積により作られる項について考えます。

「選ぶ」という操作が必要になりますので、組み合わせについて復習しておきましょう。

xを3個選ぶ場合

3つあるかっこのうちから3つとも x を選ぶことになりますので、 それらの積により x^3y^0 が作られますが、その選び方は {}_3 \mathrm{C} _{3} 通りであることから {}_3 \mathrm{C} _{3} 個の x^3y^0 が作られます。
これにより計算結果は {}_3 \mathrm{C} _{3} x^3y^0 となります。

xを2個選ぶ場合

3つあるかっこのうちから2つの x を選ぶことになりますので、 それらの積により x^2y^1 が作られますが、その選び方は {}_3 \mathrm{C}_ {2} 通りであることから {}_3 \mathrm{C} _{2} 個の x^2y^1 が作られます。
これにより計算結果は {}_3 \mathrm{C} _{2} x^2y^1 となります。

マスマスターの思考回路

x を2つ選ぶということは自動的に一つの y を選ばなければなりませんので、 それらの積によって x^2y^1 が作られます。

そしてその選び方のパターンについて、具体的にそれらを列挙すると、
xxy
xyx
yxx
の3通り( = {}_3 \mathrm{C}_ {2} )となります。
上記3通りはいずれも x^2y^1 ですので、 {}_3 \mathrm{C}_ {2} 個のx^2y^1 が作られることとなり、それらの和は {}_3 \mathrm{C}_ {2} x^2y^1 となります。

xを1個選ぶ場合

3つあるかっこのうちから1つの x を選ぶことになりますので、 それらの積により x^1y^2 が作られますが、その選び方は {}_3 \mathrm{C} _{1} 通りであることから {}_3 \mathrm{C} _{1} 個の x^1y^2 が作られます。
これにより計算結果は {}_3 \mathrm{C} _{1} x^1y^2 となります。

マスマスターの思考回路

x を1つ選ぶ場合は、 x を2つ選ぶ場合と同様に理解できるでしょう。

xを0個選ぶ場合

3つあるかっこのうちから x を選ばないので、それはつまり3つとも y を選ぶことを意味します。よって、それらの積により x^0y^3 が作られますが、その選び方は {}_3 \mathrm{C} _{0} 通りであることから {}_3 \mathrm{C} _{0} 個の x^0y^3 が作られます。
これにより計算結果は {}_3 \mathrm{C} _{0} x^0y^3 となります。

これらをまとめると

以上により、

    \begin{eqnarray*} (x + y)^3 &=& {}_3 \mathrm{C} _{3} x^3y^0 + {}_3 \mathrm{C} _{2} x^2y^1 + {}_3 \mathrm{C} _{1} x^1y^2 + {}_3 \mathrm{C} _{0} x^0y^3\\\\ \end{eqnarray*}

であり、これを整理すると

    \begin{eqnarray*} (x + y)^3 &=& x^3 + 3 x^2y + 3 xy^2 + y^3\\\\ \end{eqnarray*}

となり、3乗の展開公式の結果に一致し、 n=3 のときに二項定理が成立することが示されました。

同様にして、一般の n の場合についても考えてみましょう。

二項定理の証明 (一般のnのとき)

(x + y)^nn 個の (x + y) の積の形に書き下すと次のようになります。

二項定理の証明

この n 個の (x + y) のそれぞれのかっこから x または y を選択することによって展開結果を考えましょう。

xをn個選ぶ場合

n 個のかっこのうちから n 個とも x を選ぶことになりますので、 それらの積により x^ny^0 が作られますが、その選び方は {}_n \mathrm{C} _{n} 通りであることから {}_n \mathrm{C} _{n} 個の x^ny^0 が作られます。
これにより計算結果は {}_n \mathrm{C} _{n} x^ny^0 となります。

xをn-1個選ぶ場合

n 個のかっこのうちから n-1 個の x を選ぶことになりますので、 それらの積により x^{n-1}y^1 が作られますが、その選び方は {}_n \mathrm{C} _{n-1} 通りであることから {}_n \mathrm{C} _{n-1} 個の x^{n-1}y^1 が作られます。
これにより計算結果は {}_n \mathrm{C} _{n-1} x^{n-1}y^1 となります。

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以下同様にして考えることができます。

選ぶ x の個数を一つずつ減らしてくときりがありませんので、次は一般の場合、つまり xr 個選ぶ場合を考えましょう。

xをr個選ぶ場合

n 個のかっこのうちから r 個の x を選ぶことになりますので、 それらの積により x^{r}y^{n-r} が作られますが、その選び方は {}_n \mathrm{C} _{r} 通りであることから {}_n \mathrm{C} _{r} 個の x^{r}y^{n-r} が作られます。
これにより計算結果は {}_n \mathrm{C} _{r} x^{r}y^{n-r} となります。

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引き続き x を0個選ぶ場合に向けて進めていきます。

xを1個選ぶ場合

n 個のかっこのうちから 1 個の x を選ぶことになりますので、 それらの積により x^{1}y^{n-1} が作られますが、その選び方は {}_n \mathrm{C} _{1} 通りであることから {}_n \mathrm{C} _{1} 個の x^{1}y^{n-1} が作られます。
これにより計算結果は {}_n \mathrm{C} _{1} x^{1}y^{n-1} となります。

xを0個選ぶ場合

n 個のかっこのうちから 0 個の x を選ぶことになりますので、 それらの積により x^{0}y^{n-0} が作られますが、その選び方は {}_n \mathrm{C} _{0} 通りであることから {}_n \mathrm{C} _{0} 個の x^{0}y^{n-0} が作られます。
これにより計算結果は {}_n \mathrm{C} _{0} x^{0}y^{n-0} となります。

これらをまとめると

以上により、

    \begin{eqnarray*} && (x + y)^n \\\\ &=& {}_n \mathrm{C} _{n} ~x^{n} y^{0} + {}_n \mathrm{C} _{n-1} ~x^{n-1} y^{1} + \cdots + {}_n \mathrm{C} _{r} ~x^{n-r} y^{r} + \cdots + \\\\  &&{}_n \mathrm{C} _{1} ~x^{1} y^{n-1} + {}_n \mathrm{C} _{0} ~x^{0} y^{n-0} \end{eqnarray*}

となります。ここで組み合わせの性質から、

    \begin{eqnarray*} {}_n \mathrm{C} _{m} = {}_n \mathrm{C} _{n-m} \end{eqnarray*}

が成り立つので、

    \begin{eqnarray*} && (x + y)^n \\\\ &=& {}_n \mathrm{C} _{0} ~x^{n} y^{0} + {}_n \mathrm{C} _{1} ~x^{n-1} y^{1} + \cdots + {}_n \mathrm{C} _{r} ~x^{n-r} y^{r} + \cdots + \\\\  &&{}_n \mathrm{C} _{n-1} ~x^{1} y^{n-1} + {}_n \mathrm{C} _{n} ~x^{0} y^{n-0} \end{eqnarray*}

となります。

以上により、一般の n のときに二項定理

    \begin{eqnarray*} && (x + y)^n \\\\ &=& {}_n \mathrm{C} _{0} ~x^{n} y^{0} + {}_n \mathrm{C} _{1} ~x^{n-1} y^{1} + \cdots + {}_n \mathrm{C} _{r} ~x^{n-r} y^{r} + \cdots + \\\\  &&{}_n \mathrm{C} _{n-1} ~x^{1} y^{n-1} + {}_n \mathrm{C} _{n} ~x^{0} y^{n} \end{eqnarray*}

が成立することが示されました。

二項定理の説明のおわりに

いかがでしたか?

展開結果の係数は組み合わせを用いて説明できるということについて、意外に感じられた方も多くおられるかと思います。

また、一般の n についての証明で xr 個選ぶ場合を考えましたが、そのときの計算結果である

    \begin{eqnarray*} {}_n \mathrm{C} _{r} ~x^{r}y^{n-r} \end{eqnarray*}

一般項といい、一般項とは一般に第 n 番目の項のことを意味しますのでこのことも覚えておきましょう。

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二項定理には定理自体にすでに n が使用されていますので、文字が重複しないように r 番目の項を一般項と考えていることとなります。

一般項については数列を学ぶと身近に感じられるようになるかと思います。

【基礎】方程式・式と証明のまとめ

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