【基礎知識】乃木坂46の「いつかできるから今日できる」を数学的命題として解釈する
- 命題
基礎知識
解法
2018年度入試 慶應義塾大学 理工 数学 2
の解説を行います。
それでは問題を見てみましょう。

マスマスターの思考回路
 
      さいころを一回投げて出た目について、
1または2である事象をA(確率は $\frac{1}{3}$ )
3または4である事象をB(確率は $\frac{1}{3}$ )
5または6である事象をC(確率は $\frac{1}{3}$ )
とします。
マスマスターの思考回路
 
      BとCが同じ回数発生すれば点Pのy座標が0になります。
さいころは2回投げるので、BとCがそれぞれ0回または1回発生する場合が該当します。
BとCがそれぞれ0回発生することは、2回ともAが発生することと同じで、その確率は、
$$\begin{align} \left(\cfrac{1}{3}\right)^2 &=& \cfrac{1}{9} \end{align}$$BとCがそれぞれ1回発生する確率は、
$$\begin{align} 2 \cdot \cfrac{1}{3} \cdot \cfrac{1}{3} &=& \cfrac{2}{9} \end{align}$$(1) + (2) より、
$$\begin{array}{rcl} \cfrac{1}{9} + \cfrac{2}{9} &=& \cfrac{3}{9} \\\\ &=& \cfrac{1}{3} \end{array}$$よって、
(オ)$\cfrac{1}{3}$
となります。
マスマスターの思考回路
 
      $x \geqq 1$または$y \geqq 1$という状況は少し考えにくい印象を受けます。
この余事象(否定)を考えてみると、$x < 1$かつ$y < 1$であり、これは前提としてAが一度も発生してはいけないという事を意味しています。 そのうえで、Bが2回以上発生してしまうと$y < 1$を満たさなくなることから、 Bが0回または1回のときに限られるということがわかります。
Bが1回、Cが2回発生する確率は、反復試行の確率により、
$$\begin{array}{rcl} {}_3 \mathrm{C} _1 \left(\cfrac{1}{3}\right)^1 \left(\cfrac{1}{3}\right)^2 &=& \cfrac{3}{3^3} \end{array}$$ $$\begin{align} = \cfrac{1}{9} \end{align}$$Bが0回、Cが3回発生する確率は、
$$\begin{align} \left(\cfrac{1}{3}\right)^3 &=& \cfrac{1}{27} \end{align}$$余事象を考えていることと、(3)式(4)式 より、
$$\begin{array}{rcl} 1 – \left( \cfrac{1}{9} + \cfrac{1}{27} \right) &=& \cfrac{27-3-1}{27} \\\\ &=& \cfrac{23}{27} \end{array}$$よって、
(カ)$\cfrac{23}{27}$
となります。
マスマスターの思考回路
 
      点Pのx座標が2以上となるには、Bが少なくとも2回発生することと同じになります。
つまり、Bが2回または3回または4回発生する確率を求めれば良いのですが、その余事象であるBが0回または1回発生する確率を求める方が楽ですね。余事象を利用する方針で進めましょう。
Bが0回発生する確率は、
$$\begin{align} \left(\cfrac{2}{3}\right)^4 &=& \cfrac{16}{81} \end{align}$$Bが1回発生する確率は、
$$\begin{array}{rcl} {}_4 \mathrm{C} _1 \left(\cfrac{1}{3}\right)^1\left(\cfrac{2}{3}\right)^3 &=& \cfrac{4\cdot 2^3}{3^4} \\\\ &=& \cfrac{32}{81} \end{array}$$ $$\begin{align} &=& \cfrac{32}{81} \end{align}$$余事象を考えていることと、(5)式(6)式 より、
$$\begin{array}{rcl} 1 – \left( \cfrac{16}{81}+ \cfrac{32}{81} \right) &=& \cfrac{81 – 16 – 32}{81} \\\\ &=& \cfrac{33}{81} \\\\ &=& \cfrac{11}{27} \end{array}$$よって、
(キ)$\cfrac{11}{27}$
となります。
マスマスターの思考回路
 
      次に条件付き確率を求めます。
まず、点Pのx座標が2以上になるためには、Aが少なくとも2回発生しなければなりません。
なので、Aが2回発生する事を保証した状況で、あとの2回で点Pのy座標が0である場合を考えましょう。
点Pのy座標が0であるということはBとCが同じ回数ずつ発生するということですので、残された2回でBとCがそれぞれ0回または1回発生する場合を考えれば良いでしょう。
Aが2回、BとCがそれぞれ1回ずつ発生する確率は、同じものを含む順列を利用し、
$$\begin{align} \cfrac{4!}{2!1!1!} \left(\cfrac{1}{3}\right)^2 \left(\cfrac{1}{3}\right)^1 \left(\cfrac{1}{3}\right)^1 &=& \cfrac{12}{3^4} \end{align}$$Aが4回、BとCがそれぞれ0回ずつ発生する確率は、
$$\begin{align} \left(\cfrac{1}{3}\right)^4 &=& \cfrac{1}{3^4} \end{align}$$(キ)の結果と(7)式(8)式 より、
$$\begin{array}{rcl} \cfrac{\cfrac{12}{3^4} + \cfrac{1}{3^4}}{\cfrac{11}{27}} &=& \cfrac{\cfrac{13}{3^4} }{\cfrac{11}{3^3}} \\ &=& \cfrac{13}{33} \end{array}$$よって、
(ク)$\cfrac{13}{33}$
となります。
マスマスターの思考回路
 
      n-1回目までにAが1回だけ発生している状況で、n回目にAが発生する確率を求めればよいですね。
${}_{n-1} \mathrm{C} _1 \left(\cfrac{1}{3}\right)^1 \left(\cfrac{2}{3}\right)^{(n-1)-1}\cdot \cfrac{1}{3} \\$
$= \cfrac{(n-1)\cdot 2^{n-2}}{3^{n-1}} \cdot \cfrac{1}{3}\\$
$= \cfrac{(n-1)\cdot 2^{n}2^{-2}}{3^{n}} \\$
$= \cfrac{n-1}{4}\left(\cfrac{2}{3}\right)^n$
よって、
(ケ)$\cfrac{n-1}{4}\left(\cfrac{2}{3}\right)^n$
となります。
マスマスターの思考回路
 
      k回目にはじめてx=2となり、(k+1)回目にAが発生しなければ、点Pが直線x=2上の格子点を2つ以上通ることになります。
(k+2)回目からは何の目が出ても構わないので、考慮する必要はありません。
ここでいうkはk=2, 3, $\cdots$ , n-1の場合が考えられますので、各場合の確率の和が求める確率となります。
k回目にはじめてx=2となる確率は(ケ)の結果を利用しましょう。
求める確率は、
$\displaystyle \sum_{k=2}^{n-1} \cfrac{k-1}{4}\left(\cfrac{2}{3}\right)^k \cdot \cfrac{2}{3} = \cfrac{1}{6}\displaystyle \sum_{k=2}^{n-1} (k-1)\left(\cfrac{2}{3}\right)^k$
となります。
マスマスターの思考回路
 
      上式は(等差)×(等比)型の数列の和ですので、上式を適当な文字$X$とおき、XとXに等比数列の公比をかけた式との差をとって計算を行いましょう。
とおくと、
$X = \cfrac{1}{6}\left[ 1 \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^2 + 2 \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^3 + \cdots + (n-2) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n-1} \right]$
$\cfrac{2}{3} X = \cfrac{1}{6}\left[ 1 \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^3 + \cdots + (n-3) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n-1} + (n-2) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n} \right]$
上の二式を引き算すると、
$\cfrac{1}{3} X = \cfrac{1}{6}\left[ 1 \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^2 + 1 \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^3 + \cdots + 1 \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n-1} – (n-2) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}\right] \\$
$X = \cfrac{1}{2}\left[ \cfrac{\cfrac{4}{9}\{1- \left(\cfrac{2}{3}\right)^{(n-1)-2+1} \} }{1 -\cfrac{2}{3} } – (n-2) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}\right] \\$
$= \cfrac{1}{2}\left[ \cfrac{ 4\{1- \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n-2} \} }{9 -6 } – (n-2) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}\right] \\$
$= \cfrac{1}{2} \left[ \cfrac{4}{3} – \cfrac{4}{3}\left(\cfrac{2}{3}\right)^{n-2} – (n-2) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}\right] \\$
$= \cfrac{1}{2} \left[ \cfrac{4}{3} – \cfrac{4}{3}\left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}\cfrac{9}{4} – (n-2) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}\right] \\$
$= \cfrac{1}{2} \left[ \cfrac{4}{3} – 3\left(\cfrac{2}{3}\right)^{n} – (n-2) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}\right] \\$
$= \cfrac{1}{2} \left[ \cfrac{4}{3} – (n+1) \cdot \left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}\right] \\$
$= \cfrac{2}{3} – \cfrac{n+1}{2}\left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}$
よって、
(コ)$\cfrac{2}{3} – \cfrac{n+1}{2}\left(\cfrac{2}{3}\right)^{n}$
となります。
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-このサイトの記事を書いている人-
 
    
          
        某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。      
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問題文が長いですが、順番に対応していきましょう。