公式

【確率】反復試行の確率の公式とその例題

確率の問題で、同じことを何回か繰り返し、ある事柄がそのうち何回起きるかを求める場合があります。

このような場合には反復試行の確率を利用して問題を解決することができます。

ここでは反復試行の基本的な考え方と、実例を紹介していきます。

反復試行とは

同じ試行を繰り返すことを反復試行といいます。

ある事象Aが発生する確率をpとすると、事象Aが発生しない確率はその余事象の確率なので(1-p)と表されます。

n回の反復試行を行ったとき、事象Aがr回発生する確率は

    \begin{eqnarray*}{}_{n} \mathrm{C} _{r} p^r (1-p)^{n-r} \\\\\end{eqnarray*}

こんな場合は反復試行です

マスマスターの思考回路

慣れないうちは問題分を読んでも、反復試行なのかどうかの判断がつかない事があるかと思います。
反復試行の例としては次のようなものが考えられます。

  • コインを何度か投げる
  • さいころを何度か振る
  • 袋の中から玉を何度か取り出す(ただし取り出した玉は袋に戻す)

マスマスターの思考回路

袋の中から玉を取り出し、玉を袋に戻さずにまた新しい玉をとりだす場合は反復試行とはいいません。
何度か繰り返す試行が、各試行ごとに同じ条件であるとき、つまりある試行が別のある試行の結果に影響を及ぼさないとき(これを独立といいます)にそれを反復試行であるといいます。

つまり反復試行とは、独立なある一定の試行の繰り返しであるということができます。

反復試行の確率の証明

n回の反復試行を行ったとき、事象Aがr回発生する確率は

    \begin{eqnarray*}{}_{n} \mathrm{C} _{r} p^r (1-p)^{n-r} \\\\\end{eqnarray*}

上の反復試行の確率が成り立つことを証明します。

証明

n回の反復試行を行ったとき、事象Aがr回発生するものとし、事象Aが起こることを○、起こらないことを×と表します。
このとき、事象Aがr回発生する場合の一例は次のようなものが考えられます。

×○××○×\cdots○×○×

ただし、○はr個、×はn-r個(○×の総計がn個であり、そこから○の個数r個を引いたもの)になります。
各試行は独立なのでそれぞれの確率をかけあわせればよく、上の例の場合が発生する確率は、

    \begin{eqnarray*}p^r (1-p)^{n-r}\end{eqnarray*}

となります。

ここで、n回の試行中に事象Aが何回目に発生するかの場合の数は、n個の位置からr個を選ぶ場合の数{}_{n} \mathrm{C} _{r}だけ存在し、それらは排反であるので、p^r (1-p)^{n-r}{}_{n} \mathrm{C} _{r}回足したものが求める確率となります。

よって、

n回の反復試行を行ったとき、事象Aがr回発生する確率は

    \begin{eqnarray*}{}_{n} \mathrm{C} _{r} p^r (1-p)^{n-r} \\\\\end{eqnarray*}

であることが証明されました。

反復試行の例題

次の例題を考えましょう。

コインを4回投げ、表がちょうど3回出る確率を求めよ。

マスマスターの思考回路

コインを投げるという試行は互いに独立です。
例えば今、コインを投げて表だったとして、それが次にコインを投げるときの裏表の結果には影響しません。
他の試行に影響を与えない試行は独立な試行です。
独立な同じ試行を繰り返すという状況なので、反復試行の確率を利用することができます。

    \begin{eqnarray*}{}_{4} \mathrm{C} _{3} \left(\cfrac{1}{2}\right)^3 \left(1-\cfrac{1}{2}\right)^{4-3} &=& {}_{4} \mathrm{C} _{1} \left(\cfrac{1}{2}\right)^3 \left(\cfrac{1}{2}\right)^{1} \\\\&=& 4 \left(\cfrac{1}{2}\right)^4 \\\\&=& 2^2 \cfrac{1}{2^4} \\\\&=& \cfrac{1}{2^2} \\\\&=& \cfrac{1}{4} \\\\\end{eqnarray*}

となります。

反復試行の説明の終わりに

いかがでしたか?

「コインを4回投げ、表がちょうど3回出る確率を求めよ。」という問題は、中学校の数学でも扱われるレベルですが、中学生の段階だと樹形図を用いて確率を求める方法が一般的かと思います。

しかし、高校数学になると樹形図を用いず、計算だけで確率を求めることも可能になります。

といっても樹形図は場合の数・確率を求めるための基本中の基本であり、有用な手法であることに変わりはありません。

その状況に応じて、適切な方法を選択して問題を解決できるようにしていけると良いですね。

【確率】場合の数と確率のまとめ

プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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