【基礎知識】乃木坂46の「いつかできるから今日できる」を数学的命題として解釈する
- 命題
基礎知識
解法
2018年度早稲田大学 基幹理工・創造理工・先進理工 入試 数学[Ⅰ]
の解説を行います。
それでは問題を見てみましょう。
![2018年度入試 基幹理工・創造理工・先進理工 数学[Ⅰ]](https://math-masteeer.com/wp-content/uploads/waseda_2018_riko_1.png)
マスマスターの思考回路
![2018年度入試 基幹理工・創造理工・先進理工 数学[Ⅰ]](https://math-masteeer.com/wp-content/uploads/2018-waseda-riko-1.png)
マスマスターの思考回路
図を描くといっても、現時点ではPが実軸上のどこかしらにあるということしかわかりません。
AとBはどこにあるか全くわかりませんが、実軸上に存在してしまうとP, A, Bは一直線に並んでしまい、三角形をなすことができません。
少なくともAとBはともに実数でないことが必要になります。
よって$x^2+qx+r=0$が複素数解を持つように設定しましょう。
$x^2+qx+r=0$に対する判別式$D=q^2-4r$について、
$q^2-4r \geqq 0$のとき、$\alpha, \beta$は実数であり、P, A, Bが実軸上に並ぶので三角形をなすことができません。
よって、
$$\begin{align} q^2-4r < 0 \end{align}$$となり、このとき、$\alpha, \beta$は複素数となります。
マスマスターの思考回路
$\alpha, \beta$は二次方程式$x^2+qx+r=0$の複素数解なので、互いに共役の関係にあります。
つまり$\alpha$と$\beta$の実部は等しくなります。その実部が$P$に一致していると三点A, B, Pは虚軸に平行な直線上に並んでしまうので三角形をなすことができません。よって、$\alpha$と$\beta$の実部が$p$に一致しないことが必要となります。$\alpha$と$\beta$の実部を求めましょう。
$\alpha=a+bi$とおくと、$\beta=a-bi$と表すことができます。実部を求めるために虚部を消去すると、
$$\begin{align} \alpha + \beta = 2a \end{align}$$となります。
二次方程式の解と係数の関係より、
$$\begin{align} \alpha + \beta = -q \end{align}$$なので、(2)式と(3)式より
$$\begin{array}{rcl} 2a &=& -q \\\\ \end{array}$$ $$\begin{align} a &=& -\cfrac{q}{2} \end{align}$$(4)式により実部$a$が求まりました。これが$p$に一致しなければ良いので、
$$\begin{align} -\cfrac{q}{2} \neq p \end{align}$$(1)(5)式からP, A, Bが三角形をなすための条件は、
$$\begin{array}{rcl} \begin{cases} q^2-4r < 0 \\ -\cfrac{q}{2} \neq p \end{cases} \end{array}$$となります。
マスマスターの思考回路
すでにわかっているように、$\alpha, \beta$は互いに共役な複素数になります。つまり点A, Bは実軸に関して対象な位置に存在します。
$\alpha, \beta$の実部$(-\cfrac{q}{2})$と$p$の大小関係がわかりませんが、$-\cfrac{q}{2} > p$であるものとして図にしてみましょう。
![2018年度入試 基幹理工・創造理工・先進理工 数学[Ⅰ]](https://math-masteeer.com/wp-content/uploads/2018-waseda-riko-2.png)
上図より、
$$\begin{array}{rcl} S &=& |\alpha – \beta| \left|-\cfrac{q}{2} – p \right|\cfrac{1}{2} \\\\ \end{array}$$ $$\begin{align} &=& |\alpha – \beta| \left|\cfrac{q}{2} + p \right|\cfrac{1}{2} \end{align}$$となります。$|\alpha – \beta|$を求めましょう。
マスマスターの思考回路
$|\alpha – \beta|$を求めるために、$|\alpha – \beta|^2$を求めましょう。
ここで、$\alpha, \beta$は$x^2+qx+r=0$の解であり、二次方程式の解と係数の関係を用いると
(7)式と(2)式の$\alpha + \beta = -q$を用いて、
$$\begin{array}{rcl} |\alpha – \beta|^2 &=& -\{(\alpha + \beta)^2 -4\alpha\beta \} \\\\ &=& -\{(-q)^2 -4r \} \\\\ &=& -(q^2 -4r ) \\\\ &=& 4r – q^2 \end{array}$$両辺の正の平方根をとると、
$$\begin{align} |\alpha – \beta| &=& \sqrt{4r – q^2} \end{align}$$となります。
(8)式を(6)式に代入すると、
$$\begin{array}{rcl} S &=& |\alpha – \beta| \left|\cfrac{q}{2} + p \right|\cfrac{1}{2} \\\\ &=& \sqrt{4r-q^2} \left|\cfrac{q}{2} + p \right|\cfrac{1}{2} \\\\ &=& \cfrac{1}{2}\left|\cfrac{q}{2} + p \right|\sqrt{4r-q^2} \end{array}$$となります。
マスマスターの思考回路
三角形の外心はその三角形の各辺の垂直二等分線の交点に一致します。
△PABはPA=PBの二等辺三角形であり、点A, Bは実軸に関して対象なので、実軸は線分ABの垂直二等分線になります。
これにより、点Qは実軸上にあることがわかります。
点Qに対応する複素数を$z$として、Qを図に追加しましょう。
![2018年度入試 基幹理工・創造理工・先進理工 数学[Ⅰ]](https://math-masteeer.com/wp-content/uploads/2018-waseda-riko-3.png)
マスマスターの思考回路
AとPはQを中心とする円周上の点ですので、$PQ=AQ$が成立していなければならないことから$z$を求めましょう。
$PQ=AQ$より、
$$\begin{array}{rcl} |z-p| &=& |z-\alpha| \end{array}$$両辺を二乗して計算を進めていきます。
$$\begin{array}{rcl} |z-p|^2 &=& |z-\alpha|^2 \\ \\ (z-p)\overline{(z-p)} &=& (z-\alpha)\overline{(z-\alpha)} \\ \\ (z-p)(\overline{z}-\overline{p}) &=& (z-\alpha)(\overline{z}-\overline{\alpha}) \end{array}$$ここで、$z, p$は実数なので、$\overline{z}=z, ~\overline{p}=p$となります。
また、$\overline{\alpha}=\beta$なので、
となります。計算を続けていきましょう。
$$\begin{array}{rcl} z^2-2zp+p^2 &=& z^2-(\alpha + \beta)z + \alpha\beta \\\\ -2zp+p^2 &=& -(\alpha + \beta)z + \alpha\beta \end{array}$$これに(3)式と(7)式を代入し、整理します。
$$\begin{array}{rcl} -2zp+p^2 &=& -(-q)z + r \\\\ -2zp+p^2 &=& qz + r \\\\ z(-2p-q) &=& r – p^2 \\\\ z(2p+q) &=& p^2 – r \end{array}$$(5)式より$2p+q \neq 0$なので、
$$\begin{array}{rcl} z &=& \cfrac{p^2 – r}{2p+q} \end{array}$$よって、
$$\begin{array}{rcl} Q \left(\cfrac{p^2 – r}{2p+q} \right) \end{array}$$となります。
マスマスターの思考回路
$R$の大きさは$|z-p|$に等しいことがわかります。
先ほど求めた$z$を利用してこの値を求めていきましょう。
マスマスターの思考回路
$2p+q$の正負はわかりませんが、$p^2 + r + pq$の正負はわかるかもしれません。
$p^2 + r + pq$は$p$に関する二次関数なので、平方完成し、概形を把握しましょう
(1)式より、$q^2-4r < 0$なので、$\left(p + \cfrac{q}{2} \right)^2 – \cfrac{q^2 -4r}{4} > 0$、つまり、
$$\begin{align} p^2 + r + pq > 0 \end{align}$$であることがわかります。
よって、(9)式と(10)式より、
$$\begin{array}{rcl} R &=& \cfrac{p^2 + r + pq}{|2p+q|} \end{array}$$となります。
この記事が気に入ったら
「いいね」しよう!
-このサイトの記事を書いている人-
某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。
>> お問い合わせ
>> プライバシーポリシー
三点P, A, Bが三角形をなすには、これらが一直線に並ばないことが必要になります。
まずは、図を描いてみましょう