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【公式】三角関数の加法定理の証明

加法定理を学んでしまえば三角比で学習した公式のうち、いくつかは忘れてしまっても構わない(覚えておいた方が良いですが)というほど加法定理は役に立ちます。

これは、加法定理が三角比の公式のいくつかを一般化したものだからです。

ここでは加法定理の証明を行っていきましょう。

加法定理

加法定理とは下の三つの式のことをいいます。

    \begin{eqnarray*} \sin (\alpha \pm \beta) &=& \sin \alpha \cos \beta \pm \cos \alpha \sin \beta \\\\ \cos (\alpha \pm \beta) &=& \cos \alpha \cos \beta \mp \sin \alpha \sin \beta \\\\ \tan (\alpha \pm \beta) &=& \cfrac{\tan \alpha \pm \tan \beta}{1 \mp \tan \alpha \tan \beta} \\\\ \end{eqnarray*}

(複合同順)

\cos (\alpha \pm \beta) &=& \cos \alpha \cos \beta \mp \sin \alpha \sin \beta の証明

次のような図を考えます。

加法定理の証明

三角形OABに対し、余弦定理より

    \begin{eqnarray*}AB^2 &=& OB^2 + OA^2 -2OA \cdot OB \cos( \alpha - \beta)  \\\\&=& 1^2 + 1^2 -2 \cdot 1 \cdot 1 \cos( \alpha - \beta)    \\\\&=& 2 -2 \cos( \alpha - \beta) \\\\\end{eqnarray*}

また、AB^2二点間距離の公式から、

    \begin{eqnarray*}AB^2 &=& (\cos \beta - \cos \alpha )^2 + (\sin \beta - \sin \alpha )^2 \\\\&=& (\cos^2 \beta - 2 \cos \beta \cos \alpha + \cos^2 \alpha) + (\sin^2 \beta - 2 \sin \beta \sin \alpha + \sin^2 \alpha) \\\\&=& (\sin^2 \alpha + \cos^2 \alpha) + (\sin^2 \beta + \cos^2 \beta) -2 (\cos \beta \cos \alpha + \sin \beta \sin \alpha) \\\\&=& (1) + (1) -2 (\cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta ) \\\\&=& 2 -2 (\cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta ) \\\\\end{eqnarray*}

よって、

    \begin{eqnarray*}2 -2 \cos( \alpha - \beta) &=& 2 -2 (\cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta ) \\\\\end{eqnarray*}

これを整理すると、

    \begin{eqnarray*}\cos( \alpha - \beta) &=& \cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta \\\\\end{eqnarray*}

となります。

また、

    \begin{eqnarray*}\cos( \alpha + \beta ) &=& \cos( \alpha - ( - \beta) ) \\\\&=&\cos \alpha \cos (- \beta) + \sin \alpha \sin ( - \beta ) \\\\&=& \cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta \\\\\end{eqnarray*}

以上により、

    \begin{eqnarray*} \cos (\alpha \pm \beta) &=& \cos \alpha \cos \beta \mp \sin \alpha \sin \beta \\\\ \end{eqnarray*}

が証明されました。

\sin (\alpha \pm \beta) &=& \sin \alpha \cos \beta \pm \cos \alpha \sin \beta の証明

    \begin{eqnarray*}\sin( \alpha + \beta ) &=& \cos\{ 90^\circ - (\alpha + \beta) \} \\\\&=& \cos\{ ( 90^\circ - \alpha ) - \beta \} \\\\&=& \cos( 90^\circ - \alpha ) \cos \beta + \sin( 90^\circ - \alpha ) \sin \beta \\\\&=& \sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta \\\\\end{eqnarray*}

また、

    \begin{eqnarray*}\sin( \alpha - \beta ) &=& \sin\{ \alpha + (- \beta) \}  \\\\&=& \sin \alpha \cos (- \beta) + \cos \alpha \sin (- \beta) \\\\&=& \sin \alpha \cos \beta - \cos \alpha \sin \beta \\\\\end{eqnarray*}

よって、

    \begin{eqnarray*} \sin (\alpha \pm \beta) &=& \sin \alpha \cos \beta \pm \cos \alpha \sin \beta \\\\ \end{eqnarray*}

が証明されました。

\tan (\alpha \pm \beta) &=& \cfrac{\tan \alpha \pm \tan \beta}{1 \mp \tan \alpha \tan \beta} の証明

    \begin{eqnarray*}\tan( \alpha + \beta ) &=& \cfrac{ \sin ( \alpha + \beta ) }{ \cos ( \alpha + \beta ) } \\\\&=& \cfrac{\sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta}{\cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta} \\\\&=& \cfrac{ \cfrac{\sin \alpha}{ \cos \alpha} + \cfrac{\sin \beta}{\cos \beta} }{1 - \cfrac{\sin \alpha \sin \beta}{\cos \alpha \cos \beta}} \\\\&=& \cfrac{\tan \alpha + \tan \beta}{1 - \tan \alpha \cdot \tan \beta} \\\\\end{eqnarray*}

また、

    \begin{eqnarray*}\tan( \alpha - \beta ) &=& \tan( \alpha + (- \beta) ) \\\\&=& \cfrac{\tan \alpha + \tan (- \beta)}{1 - \tan \alpha \cdot \tan (- \beta)} \\\\&=& \cfrac{\tan \alpha - \tan \beta}{1 + \tan \alpha \cdot \tan \beta} \\\\\end{eqnarray*}

よって、

    \begin{eqnarray*} \tan (\alpha \pm \beta) &=& \cfrac{\tan \alpha \pm \tan \beta}{1 \mp \tan \alpha \tan \beta} \\ \end{eqnarray*}

が証明されました。

【三角関数】三角関数のまとめ

プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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