基礎知識

【微分】微分の表記法 | dy/dx

微分は一般的に「’」を用いてf'(x)y'などと表されますが、場合によっては ~\cfrac{dy}{dx}~ と表されることがあります。
今回は、なぜこのようなまどろっこしい表現をするのか、どのような利点があるのか、についてお話ししていきたいと思います。

f'(x)は、「エフダッシュエックス」や「エフプライムエックス」と読みます。
日本の高校では「エフダッシュエックス」と習うことが多いようですが、詳しくはこちらのサイトを参考にしてください。

何を何で微分するのか

例えば、xの関数yが、y = 3x^2+2xと表されているときの微分は、

    \begin{eqnarray*} y' = 6x+2 \end{eqnarray*}

となります。
これについては問題ありませんね?次は少し複雑な状況を考えましょう。

yx以外の文字aを含むような関数y = 3x^2+2axを考えます。

yxで微分すると、

(1)   \begin{eqnarray*}y' = 6x+2a\end{eqnarray*}

となり、

yaで微分すると

(2)   \begin{eqnarray*}y' = 2x\end{eqnarray*}

となります。

マスマスターの思考回路

つまり、yを何について微分するかによって微分結果は変わってしまうのです。
「’」という記号は、微分していることを意味しているのですが、「’」だけでは何について微分しているかまでは区別することができません。
そこで、何について微分しているのかを明示するために、\cfrac{dy}{dx}という微分の表記方法が用意されているのです。

dy/dxとは

\cfrac{dy}{dx} は「ディーワイディーエックス」と読み、yxによる微分(yxで微分した結果)を意味します。
この記法に従うと、(1), (2)式はそれぞれ、

    \begin{eqnarray*}\cfrac{dy}{dx} &=& 6x+2a \\\\\cfrac{dy}{da} &=& 2x\end{eqnarray*}

となります。
この記法ならば何を何で微分しているかがわかるので、複数の文字が含まれている場合にはこの記法を用いることで誤解を防ぐことができます。

dy/dxは分数ではないが、、、

\cfrac{dy}{dx} は、分母分子のdを約分して、 \cfrac{y}{x} とすることはできません。

\cfrac{dy}{dx} で一つの記号であり、dydxで割ったものでも、dx 分の dy を意味しているわけでもありません。

しかし、\cfrac{dy}{dx} は、計算上は分数として扱うことができます。

合成関数の微分を学習すると、そのことが理解できるようになるかと思います。

【微分】合成関数の微分の公式の証明

dy/dxの説明のおわりに

初学の段階ではあまり深く考えず、\cfrac{dy}{dx}という微分の表記方法があるということだけ覚えておけば良いでしょう。

そして、合成関数の微分を用いると、置換積分を行うことができるようになります。
置換積分は、そのままでは積分できないような関数や、複雑な関数の積分を行う際に有用です。

これらもあわせて理解しておきましょう。

【数III】微分の公式のまとめ

【数III】微分法のまとめ

プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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