公式

【微分】逆関数の微分の公式の証明と例題

ここでは、逆関数の微分の公式を証明し例題を解いてみましょう。

逆関数の微分の公式

微分可能な関数 $y=f(x)$ の逆関数が存在し微分可能であるとき、

$$\begin{array}{rcl} \cfrac{dy}{dx} &=& \cfrac{1}{\cfrac{dx}{dy}} \\\\ \end{array}$$

逆関数の微分の公式の証明

微分可能な関数 $y=f(x)$ の逆関数 $x=g(y)$ が微分可能であるとき、

$x=g(y)$ を$x$ について微分すると、

$$\begin{array}{rcl} \cfrac{d}{dx}~x &=& \cfrac{d}{dx}~g(y) \end{array}$$

上式の左辺は $1$ であり、右辺に合成関数の微分を用いると、

$$\begin{array}{rcl} 1 &=& \cfrac{d}{dy}~g(y) \cfrac{dy}{dx} \end{array}$$

であり、 $g(y)=x$ なので、

$$\begin{array}{rcl} 1 &=& \cfrac{d}{dy}~x \cfrac{dy}{dx} \\\\ &=& \cfrac{dx}{dy} \cdot \cfrac{dy}{dx} \end{array}$$

両辺を $\cfrac{dx}{dy}$ で割ると、

$$\begin{array}{rcl} \cfrac{1}{\cfrac{dx}{dy}} &=& \cfrac{dy}{dx} \end{array}$$

以上により、

微分可能な関数 $y=f(x)$ の逆関数が存在し微分可能であるとき、

$$\begin{array}{rcl} \cfrac{dy}{dx} &=& \cfrac{1}{\cfrac{dx}{dy}} \end{array}$$

が示されました。

逆関数の微分の例題

逆関数という関数自体を使う機会に馴染みがなく、逆関数の微分が役に立つ場面が具体的に想像しにくいという側面はあります。

例題を通じて理解を深めましょう。

例題1

$y = \sqrt{x}$ を微分せよ。

$y = \sqrt{x}$ を $x$ について解くと、

$$\begin{array}{rcl} x = y^2 \end{array}$$

であることと、逆関数の微分の公式より、

$$\begin{array}{rcl} \cfrac{dy}{dx} &=& \cfrac{1}{\cfrac{dx}{dy}} \\\\ &=& \cfrac{1}{\cfrac{dy^2}{dy}} \\\\ &=& \cfrac{1}{2y} \\\\ &=& \cfrac{1}{2\sqrt{x}} \end{array}$$

となります。

逆関数の微分の説明のおわりに

いかがでしたか?

そのままでは微分しにくい関数については、逆関数の微分を用いると計算が楽になるかもしれませんね。

ここでは扱いませんが、大学で逆三角関数などを扱うようになると、逆関数の微分が役に立つことがより実感できるようになることと思います。

【数III】微分の公式のまとめ

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プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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