2次関数のグラフと2次不等式

2次関数のグラフと2次方程式の関係で見たように、不等式についても2次関数のグラフと関連付けをし幾何的に解きましょう。

まずはグラフを書いてみます。

はそれ自体が不等式の解として問題ない（これ以上計算できない）形となっていますが、例題は についての2次不等式ですので、 を答えとすることはできません。

次で、 の意味について考えていきましょう。

と 軸との交点の 座標はそれぞれ 1, 2 となっていますが、これは を解くことによって求められるものです。

例題の解である はカンマで区切られていますが、これは二次方程式の解を のようにカンマで区切って書いていたことと同じ意味合いになります。

つまり、カンマで区切って記述されているものは、それらのうちのいずれもが答えであることを意味すると理解してください。

また、 は、 と書いても間違いではありませんが、数直線上の大小関係を維持した回答（数直線は一般に右にあるものが大きいので、それに合わせて不等号は のみを使用する）の方が直感的に理解しやすくおすすめです。

例題2は例題1の不等号が逆向きになり、不等号の下にイコールがついた問題ですが、例題1と同様に考えましょう。

つまり、2次関数の値が0以下になる の範囲を求めれば良いという問題です。

グラフおよび、解となる範囲（赤線部）は下のようになります。

例題1と異なり、上図では2次関数と 軸との交点が黒く塗り潰されていますが、これは不等号の下にイコールがついていることを図に表したものです。

例題2は2次関数の値が0以下（つまり0も含む）となる範囲を問われているので、0より大きいか小さいかの境界となる点も解の対象であるという意味になり、その場合は一般に境界となる点が塗りつぶされて描かれます。

ポイント1にある、2次不等式を2次方程式としてみなしたときの解を求めるために、因数分解しましょう。

2次不等式を2次方程式としてみなしたときの解は、 となります。

またポイント2について、関数側が0より小さいので が中央に配置されます。

さらにポイント3について、問題文の不等号にイコールがついていませんので、回答の不等号にもイコールをつける必要はありません。

と答えると不正解となります。
数値は小さい方を左、大きい方を右に書くということに注意しましょう。

次の例題では補足説明なしで回答しますが、ここまで理解できていれば問題ないでしょう。

本例題では の係数が負の数となっているため、今までと異なり2次関数は上に凸となります。

その場合、ポイント2における式の形（回答の の配置）も逆転するのですが、それについて考える必要はありません。

与えられているのは2次関数でなく2次不等式ですから、 両辺に をかけて の係数を正の数に変えてしまえば今までと同様に対応することができます。
（ をかけたときには、不等号の向きが逆転することに注意してください）

は簡単に因数分解できませんので、2次不等式を2次方程式に変えてしまい、解の公式を用いて2次方程式としての解を求める流れとなります。

といったような不等号を含む途中式を書いてしまうと誤りとなります。

解の公式はあくまで2次「方程式」に対して成立するものです。

上述のように、与えられた2次不等式とは別に2次方程式を作成し、それに対して解の公式を適用するという流れで回答を作成しましょう。

本例題も因数分解は難しそうですね？

例題6と同様に、解の公式を用いてみましょう。

ルートの中身が で負の数となっていますが、ルートの中身の数は負の数であってはなりません。

この場合は判別式の値が負、つまり実数解を持たないということですので、不等式の解として用いられる2数を求めることを諦めましょう。

そして、実数解がないのであれば、上の解の公式による計算は回答に用いる途中過程としては不要となりますので、次のように回答しましょう。

すべての について、 が成立するのは、 という2次関数が 軸と共有点を持たない、つまり、 軸より上側にしか対象の2次関数のグラフが描画されないという理由からになります。

本例題は例題7の不等号を逆向きにしたものとなっています。

の係数が負の数となっていますが、どんな2次不等式が出題されても、先の例で見たように の係数を正に変えてしまいましょう。

本例題では因数分解ができましたが、 かっこ2乗の形になっています。
つまり重解を持つので、回答に用いられる2つの数値は同じ値となります。

今までのように考えると、解は となりますが、これはつまり が1以下または1以上ということですから、すべての実数を意味していることと同じになります。

と回答した場合、間違いではありませんが、もっと簡潔な回答が可能であるという理由から原点の対象となるかもしれません。

はそもそも平方数ですから、0以上の値以外の値をとることはありません。
この考え方に基づき、回答をすべての実数としても構いません。

本例題は例題9の不等号を逆向きにしたものです。

今までのように考えると、解は となりますが、これはつまり が1以上かつ1以下ということですから、 を意味していることと同じになります。

と回答した場合、間違いではありませんが、もっと簡潔な回答が可能であるという理由から原点の対象となるかもしれません。

不等式の解が、不等号でなくイコールで表される場合もあるということですね。

また、 はそもそも平方数ですから、 または正の値しかとり得ません。

が 以下の値になるのはちょうど のときだけですので、 この考え方に基づき、回答を としても構いません。

本例題は例題10の不等号のイコールを無くしたものです。

今までのように考えると、解は となりますが、これはつまり が1より大きいかつ1より小さいということです。
それに該当する値は存在しませんので、解なしを意味していることと同じになります。

と回答した場合、間違いではありませんが、もっと簡潔な回答が可能であるという理由から原点の対象となるかもしれません。

はそもそも平方数ですから、 負の数をとることはあり得ません。

この考え方に基づき、回答を解なしとしても構いません。

本例題は例題11の不等号の向きを逆にしたものです。

今までのように考えると、解は となりますが、これはつまり が1より小さいまたは1より大きいということであり、1以外の全ての実数を意味していることと同じになります。

と回答した場合、間違いではありませんが、もっと簡潔な回答が可能であるという理由から原点の対象となるかもしれません。

はそもそも平方数ですから、 0以上の値以外をとることはあり得ず、ちょうど0となる場合を除けばいいということになります。

この考え方に基づき、回答を1以外の全ての実数としても構いません。