【基礎知識】乃木坂46の「いつかできるから今日できる」を数学的命題として解釈する
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基礎知識
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積分を行うと、とても複雑で量も多い計算を強いられることが多くあります。
積分は面積を求める方法として有用であり、「面積を求めるには積分を行えば良い」ということは知識として身につけておかなければなりません。
しかし、そもそも定積分するとなぜ面積が求められるのでしょうか?
今回はこの問いに対して答えていきたいと思います。
準備として、まずは不定積分と定積分について理解しておきましょう。
まずゴールを設定しましょう。
$x$座標が$a$から$b$までの部分で$f(x)~(f(x) \geqq 0)~$と$x$軸によって囲まれた部分の面積$S$は次の式により求めることができます。
ではゴールを目指して証明をしていきます。
次の図について考えます。

$x$座標が$a$から$x(a \leqq x \leqq b)$までの部分と、$x$から$x+dx$(本例では$dx>0$とします)までの部分で、$y=f(x)$と$x$軸によって囲まれた部分の面積をそれぞれ$S(x), dS$とします。
このとき、横幅$dx$($x$から$dx$までの間の長さ)で、高さが$m, M$の二つの長方形の面積と$dS$とについて、下の関係が成り立ちます。
$$\begin{align} m \cdot dx \leqq dS \leqq M \cdot dx \end{align}$$また、
$$\begin{align} dS = S(x+dx)-S(x) \end{align}$$なので、(1)と(2)より、
$$\begin{array}{rcl} m \cdot dx \leqq S(x+dx)-S(x) \leqq M \cdot dx \end{array}$$が成り立ちます。
各辺を$dx$で割ると、
$$\begin{align} m \leqq \cfrac{S(x+dx)-S(x)}{dx} \leqq M \end{align}$$となります。
$m=f(x+dx)$と$M=f(x)$を(3)に代入すると
$$\begin{array}{rcl} f(x+dx) \leqq \cfrac{S(x+dx)-S(x)}{dx} \leqq f(x) \end{array}$$となり、この各辺の$dx$→$0$の極限を求めると、
$$\begin{array}{rcl} f(x) \leqq S'(x) \leqq f(x) \end{array}$$となります。
つまり、
$$\begin{array}{rcl} S'(x) = f(x) \end{array}$$であることがわかります。
これを積分すると、
$$\begin{array}{rcl} S(x) &=& \int f(x) dx\\\\ \end{array}$$ $$\begin{align} &=& F(x) + C \end{align}$$となります。積分定数Cを具体的に求めていきましょう。
(4)に$x=a$を代入すると、
$$\begin{array}{rcl} S(a) &=& F(a) + C \end{array}$$とりますが、$S(a)$は$a$から$a$までの部分で$f(x)$と$x$軸によって囲まれた部分の面積なので、$S(a)=0$となります。($a$から$a$までの部分の横幅は$0$なので、どんな高さであろうが面積は0になります)
よって、
$$\begin{array}{rcl} C &=& -F(a) \end{array}$$となり、これを(4)に代入すると、
$$\begin{align} S(x) &=& F(x) -F(a) \end{align}$$となります。
続いて、$x=b$を(5)に代入すると、
$$\begin{align} S(b) &=& F(b) -F(a)\\ \end{align}$$となりますが、$S(b)$は$x$座標が$a$から$b$までの部分で$f(x)$と$x$軸によって囲まれた部分の面積なので、$S(b)$は証明のはじめにゴールとして設定した$S$に等しく、$S(b)=S$となります。これを(6)に代入すると、
$$\begin{align} S &=& F(b) -F(a) \end{align}$$となります。
また、定積分の定義から、
$$\begin{align} \int_a^b f(x) dx = F(b) -F(a) \end{align}$$なので、(7)と(8)より、
であることが証明されました。
いかがでしたか?
定積分を行うと、面積が求まるということは理解できたでしょうか?
積分の計算は複雑で、ミスが起きやすいし、面倒だし、、、
と、嘆く方が多くいらっしゃると思いますが、このような図形的な意味がちゃんとあるということを覚えておくと良いかと思います。
【数II】微分法と積分法のまとめ
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-このサイトの記事を書いている人-
某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。
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