高校数学マスマスター

学校や塾では教えてくれない、元塾講師の思考回路の公開

基礎知識

【極限】指数関数の発散速度

指数関数の発散速度

ここでは、\cfrac{\infty}{\infty} の不定形の極限の中でも特に重要な、指数関数と多項式関数の極限の題材を扱います。


指数関数の極限

指数関数の発散速度は多項式関数のそれよりも大きく、次の式が成立します。

    \begin{eqnarray*} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^n}{e^x} &=& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

指数関数の極限の証明

マスマスターの思考回路

x \to \infty の極限なので、x>0 である場合のみを対象とします

指数関数の極限の証明(n=1のとき)

    \begin{eqnarray*} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^n}{e^x} &=& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

の証明を行う準備として、まずは n=1 のときの場合である、

    \begin{eqnarray*} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x}{e^x} &=& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

の証明を行います。

    \begin{eqnarray*} f(x) &=& e^x-\cfrac{x^2}{2}  \end{eqnarray*}

とおくと、

    \begin{eqnarray*} f'(x) &=& e^x-x \end{eqnarray*}

    \begin{eqnarray*} f''(x) &=& e^x-1 \end{eqnarray*}

f''(x)は単純な指数関数なので、単調に増加します。

x > 0 なので、

    \begin{eqnarray*} f''(x) > f''(0) = e^0 = 1 > 0 \end{eqnarray*}

よって、f'(x) は単調に増加するので、

    \begin{eqnarray*} f'(x) > f'(0) = e^0 - 0 = 1 > 0 \end{eqnarray*}

よって、f(x) は単調に増加するので、

    \begin{eqnarray*} f(x) > f(0) = e^0 - \cfrac{0^2}{2} = 1 > 0 \end{eqnarray*}

よって、

    \begin{eqnarray*} f(x) = e^x - \cfrac{x^2}{2} &>& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

これを変形すると、

    \begin{eqnarray*} \cfrac{x}{e^x} &<& \cfrac{2}{x} \\\\ \end{eqnarray*}

x>0 なので、

    \begin{eqnarray*} 0 < \cfrac{x}{e^x} < \cfrac{2}{x} \\\\ \end{eqnarray*}

はさみうちの原理より、

    \begin{eqnarray*} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x}{e^x} &=& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

が証明されました。

指数関数の極限の証明(n=2のとき)

マスマスターの思考回路

一般の n の場合の証明に備え、n=2 のときの場合も証明してみましょう。
このとき、n=1のときの結果をうまく利用できるように進めていきます。

    \begin{eqnarray*} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^2}{e^x} &=& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

の証明を行います。

    \begin{eqnarray*} g(x) &=& e^x-\cfrac{x^3}{6}  \end{eqnarray*}

とおくと、

    \begin{eqnarray*} g'(x) &=& e^x-\cfrac{x^2}{2} = f(x) > 0 \end{eqnarray*}

よって、 g(x) は単調に増加するので、

    \begin{eqnarray*} g(x) > g(0) = e^0 - \cfrac{0^2}{6} = 1 > 0 \end{eqnarray*}

よって、

    \begin{eqnarray*} g(x) = e^x - \cfrac{x^3}{6} > 0 \end{eqnarray*}

これを変形すると、

    \begin{eqnarray*} \cfrac{x^2}{e^x} < \cfrac{6}{x} \\\\ \end{eqnarray*}

x>0 なので、

    \begin{eqnarray*} 0 < \cfrac{x^2}{e^x} < \cfrac{6}{x} \\\\ \end{eqnarray*}

はさみうちの原理より、

    \begin{eqnarray*} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^2}{e^x} &=& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

が証明されました。

指数関数の極限の証明(一般のnのとき)

マスマスターの思考回路

ここまでの結果から、e^x - \cfrac{x^{n+1}}{(n+1)!}>0が成り立つことを示せば良さそうです。

    \begin{eqnarray*} h(x) &=& e^x - \cfrac{x^{n+1}}{(n+1)!} > 0 \end{eqnarray*}

上式が成り立つことを数学的帰納法により示します。

n=1のとき

    \begin{eqnarray*} h(x) = e^x - \cfrac{x^2}{2} = f(x) \end{eqnarray*}

であり、f(x) > 0 であることから、h(x) > 0 が成り立ちます。

n=kのとき

    \begin{eqnarray*} h(x) &=& e^x - \cfrac{x^{k+1}}{(k+1)!} > 0 \end{eqnarray*}

を仮定します。

n=k+1のとき

    \begin{eqnarray*} h(x) &=& e^x - \cfrac{x^{k+2}}{(k+2)!} \end{eqnarray*}

であり、

    \begin{eqnarray*} h'(x) &=& e^x - (k+2) \cfrac{x^{k+1}}{(k+2)!} \\\\ &=& e^x - \cfrac{x^{k+1}}{(k+1)!} \end{eqnarray*}

n=k のときの仮定から、

    \begin{eqnarray*} h'(x) &=& e^x - \cfrac{x^{k+1}}{(k+1)!} > 0 \end{eqnarray*}

よって、h(x) は単調に増加するので、

    \begin{eqnarray*} h(x) > h(0) = e^0 - \cfrac{0^{k+2}}{(k+2)!} = 1 > 0 \end{eqnarray*}

よって、すべての自然数nについてh(x)>0 が成り立つことが示されました。

これにより、

    \begin{eqnarray*} e^x > \cfrac{x^{n+1}}{(n+1)!} \end{eqnarray*}

これを変形すると、

    \begin{eqnarray*} \cfrac{x^n}{e^x} < \cfrac{(n+1)!}{x} \end{eqnarray*}

x>0 なので、

    \begin{eqnarray*} 0 < \cfrac{x^n}{e^x} < \cfrac{(n+1)!}{x} \end{eqnarray*}

はさみうちの原理より、

    \begin{eqnarray*} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^n}{e^x} &=& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

以上により、

    \begin{eqnarray*} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^n}{e^x} &=& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

が証明されました。

指数関数の極限の説明の終わりに

いかがでしたか?

    \begin{eqnarray*} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^n}{e^x} &=& 0 \\\\ \end{eqnarray*}

という式は暗記する必要はなく、無限大のときには指数関数は多項式関数よりもはるかに大きいということを覚えておくようにしましょう。

また記述式回答において、証明せずにこの極限値を使うことは減点の対象となる可能性がありますので注意してください。

【公式】覚えておくべき有名な極限値のまとめ

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