【基礎知識】乃木坂46の「いつかできるから今日できる」を数学的命題として解釈する
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基礎知識
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ある極限値を直接的に求めることができない(または難しい)場合に、はさみうちの原理を利用すると極限値を求められるという場合が多くあります。
はさみうちの原理自体は直感的で理解しやすく簡単な考え方なのですが、実際に使うとなると非常に難しく感じられるかと思います。
ここでは、はさみうちの原理の解説を行い、例題を解いていきます。
はさみうちの原理とは次のことをいいます。
3つの関数 $f(x), g(x), h(x)$ について、常に $f(x) \leqq g(x) \leqq h(x)$ が成り立ち、
$$\begin{array}{rcl} \lim_{x \to a} f(x) = \lim_{x \to a} h(x) = A \end{array}$$であるとき、
$$\begin{array}{rcl} \lim_{x \to a} g(x) = A \end{array}$$が成り立つ。
マスマスターの思考回路
次の問題を考えましょう。
$a_n = \cfrac{1}{n^2+1} + \cfrac{1}{n^2+2} + \cdots + \cfrac{1}{n^2+n}$
について、
$$\begin{array}{rcl} \lim_{n \to \infty} a_n \end{array}$$を求めよ。
マスマスターの思考回路
はさみうちの原理を用いて極限値を求めるには、不等式を作ることが必須になります。
本問題の場合には、変化するはずの値を固定してしまって不等式を作る方法をとります。
この方法は、不等式の作り方に必然性がないのでかなり難しく感じられるかと思いますが、よくある手法なので覚えておくと良いでしょう。
$a_n = \cfrac{1}{n^2+1} + \cfrac{1}{n^2+2} + \cdots + \cfrac{1}{n^2+n} \\$
$< \cfrac{1}{n^2+1} + \cfrac{1}{n^2+1} + \cdots + \cfrac{1}{n^2+1} \\$
$= \cfrac{n}{n^2+1} \\$
$= \cfrac{1}{n+\cfrac{1}{n}} $
また、
$$\begin{array}{rcl} 0 < a_n \end{array}$$
であることから、
$$\begin{array}{rcl} 0 < a_n < \cfrac{1}{n+\cfrac{1}{n}} \end{array}$$
ここで、
$$\begin{array}{rcl} \lim_{n \to \infty} \cfrac{1}{n+\cfrac{1}{n}} &=& 0 \\ \end{array}$$
よって、はさみうちの原理より、
$$\begin{array}{rcl} \lim_{n \to \infty} a_n = 0 \end{array}$$
となります。
いかがでしたか?
はさみうちの原理自体については問題なく理解できたかと思いますが、例題で行った不等式の作成についてはとても難しく感じられたかと思います。
問題によっては極限値自体は問題文中に与えられており、それを証明するという場合も多くあります。
極限値がわかっているということは、不等式を作るうえでのヒントとなりますので、それを指針にすると良いでしょう。
はさみうちの原理を利用して極限値を求める問題はとても難しく、しかも入試問題でも頻出となります。
多くの問題に触れ、感覚を磨いていきましょう。
【数III】関数と極限のまとめ
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-このサイトの記事を書いている人-
某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。
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つまり、$g(x)$ よりも小さい $f(x)$ と、$g(x)$ よりも大きい $h(x)$ の値が共に $A$ になる場合、 $g(x)$ も $A$という値を取らざるを得ない、という考え方がはさみうちの原理になります。
また、はさみうちの原理は関数(連続的な量)だけでなく、数列(離散的な量)についても同様になりたちます。