【基礎知識】乃木坂46の「いつかできるから今日できる」を数学的命題として解釈する
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基礎知識
基礎知識
ここでは、$\cfrac{\infty}{\infty}$ の不定形の極限の中でも特に重要な、指数関数と多項式関数の極限の題材を扱います。
目次
指数関数の発散速度は多項式関数のそれよりも大きく、次の式が成立します。
マスマスターの思考回路
      の証明を行う準備として、まずは $n=1$ のときの場合である、
$$\begin{array}{rcl} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x}{e^x} &=& 0 \end{array}$$の証明を行います。
$$\begin{array}{rcl} f(x) &=& e^x-\cfrac{x^2}{2} \end{array}$$とおくと、
$$\begin{array}{rcl} f'(x) &=& e^x-x \end{array}$$ $$\begin{array}{rcl} f”(x) &=& e^x-1 \end{array}$$$f”(x)$は単純な指数関数なので、単調に増加します。
$x > 0$ なので、
$$\begin{array}{rcl} f”(x) > f”(0) = e^0 = 1 > 0 \end{array}$$よって、$f'(x)$ は単調に増加するので、
$$\begin{array}{rcl} f'(x) > f'(0) = e^0 – 0 = 1 > 0 \end{array}$$よって、$f(x)$ は単調に増加するので、
$$\begin{array}{rcl} f(x) > f(0) = e^0 – \cfrac{0^2}{2} = 1 > 0 \end{array}$$よって、
$$\begin{array}{rcl} f(x) = e^x – \cfrac{x^2}{2} &>& 0 \end{array}$$これを変形すると、
$$\begin{array}{rcl} \cfrac{x}{e^x} &<& \cfrac{2}{x} \end{array}$$$x>0$ なので、
$$\begin{array}{rcl} 0 < \cfrac{x}{e^x} < \cfrac{2}{x} \end{array}$$はさみうちの原理より、
$$\begin{array}{rcl} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x}{e^x} &=& 0 \end{array}$$が証明されました。
マスマスターの思考回路
      一般の $n$ の場合の証明に備え、$n=2$ のときの場合も証明してみましょう。
このとき、$n=1$のときの結果をうまく利用できるように進めていきます。
の証明を行います。
$$\begin{array}{rcl} g(x) &=& e^x-\cfrac{x^3}{6} \end{array}$$とおくと、
$$\begin{array}{rcl} g'(x) &=& e^x-\cfrac{x^2}{2} = f(x) > 0 \end{array}$$よって、 $g(x)$ は単調に増加するので、
$$\begin{array}{rcl} g(x) > g(0) = e^0 – \cfrac{0^2}{6} = 1 > 0 \end{array}$$よって、
$$\begin{array}{rcl} g(x) = e^x – \cfrac{x^3}{6} > 0 \end{array}$$これを変形すると、
$$\begin{array}{rcl} \cfrac{x^2}{e^x} < \cfrac{6}{x} \end{array}$$$x>0$ なので、
$$\begin{array}{rcl} 0 < \cfrac{x^2}{e^x} < \cfrac{6}{x} \end{array}$$はさみうちの原理より、
$$\begin{array}{rcl} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^2}{e^x} &=& 0 \end{array}$$が証明されました。
マスマスターの思考回路
      ここまでの結果から、$e^x – \cfrac{x^{n+1}}{(n+1)!}>0$が成り立つことを示せば良さそうです。
上式が成り立つことを数学的帰納法により示します。
であり、$f(x) > 0$ であることから、$h(x) > 0$ が成り立ちます。
を仮定します。
であり、
$$\begin{array}{rcl} h'(x) &=& e^x – (k+2) \cfrac{x^{k+1}}{(k+2)!} \\\\ &=& e^x – \cfrac{x^{k+1}}{(k+1)!} \end{array}$$$n=k$ のときの仮定から、
$$\begin{array}{rcl} h'(x) &=& e^x – \cfrac{x^{k+1}}{(k+1)!} > 0 \end{array}$$よって、$h(x)$ は単調に増加するので、
$$\begin{array}{rcl} h(x) > h(0) = e^0 – \cfrac{0^{k+2}}{(k+2)!} = 1 > 0 \end{array}$$よって、すべての自然数$n$について$h(x)>0$ が成り立つことが示されました。
これにより、
$$\begin{array}{rcl} e^x > \cfrac{x^{n+1}}{(n+1)!} \end{array}$$これを変形すると、
$$\begin{array}{rcl} \cfrac{x^n}{e^x} < \cfrac{(n+1)!}{x} \end{array}$$$x>0$ なので、
$$\begin{array}{rcl} 0 < \cfrac{x^n}{e^x} < \cfrac{(n+1)!}{x} \end{array}$$はさみうちの原理より、
$$\begin{array}{rcl} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^n}{e^x} &=& 0 \end{array}$$以上により、
が証明されました。
いかがでしたか?
$$\begin{array}{rcl} \lim_{x \to \infty} \cfrac{x^n}{e^x} &=& 0 \end{array}$$という式は暗記する必要はなく、無限大のときには指数関数は多項式関数よりもはるかに大きいということを覚えておくようにしましょう。
また記述式回答において、証明せずにこの極限値を使うことは減点の対象となる可能性がありますので注意してください。
【公式】覚えておくべき有名な極限のまとめ
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-このサイトの記事を書いている人-
    
          
        某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。      
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$x \to \infty$ の極限なので、$x>0$ である場合のみを対象とします