【基礎知識】乃木坂46の「いつかできるから今日できる」を数学的命題として解釈する
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基礎知識
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関数には最大値・最小値・極大値・極小値という4種の特徴的な値があります。
それぞれの違いとその求め方について、説明したいと思います。
目次
定義域内で、$f(x) \leqq f(a)$が成り立つとき、$f(a)$を最大値といいいます。
つまり、$f(x)$の中で一番大きい値が最大値です。
定義域内で、$f(x) \geqq f(a)$が成り立つとき、$f(a)$を最小値といいいます。
つまり、$f(x)$の中で一番小さい値が最小値です。
極大値・極小値をまとめて極値といいます。
$x=a$付近のごく狭い範囲内$(\alpha \leqq a \leqq \beta)$で、$f(a) > f(\alpha)$ かつ$f(a) > f(\beta)$のとき、$x=a$で極大であるといい、$f(a)$を極大値といいます。
簡単にいうと、ある山の一番上が極大です。
$x=a$付近のごく狭い範囲内$(\alpha \leqq a \leqq \beta)$で、$f(a) < f(\alpha)$ かつ$f(a) < f(\beta)$のとき、$x=a$で極小であるといい、$f(a)$を極小値といいます。
簡単にいうと、ある谷の一番下が極小です。
最大値・最小値についてはおなじみだと思いますが、極値についてはわかりにくいかと思います。
図を見て理解を深めていきましょう。

極大は「山の一番上」なので、これについては問題なく理解できるかと思います。
極小は「谷の一番下」なのですが、この図ではそれに該当する点が二つあります。この谷の一番下の点のどちらも極小になります。関数の値自体の大小は関係なく、「山の一番上」や「谷の一番下」に該当する全ての点が極となります。
つまり最大値・最小値とは異なり、極値は複数存在する場合があります。
そしてこれは極小であるからといって最小であるとは限らないということを意味しています。(極大についても同様です。)
ここまでで、極大・極小がどういったものなのかのイメージが掴めたかと思います。
次は極値の求め方を説明していきます。
微分可能な関数$f(x)$について、極値$f(a)$が存在していれば極での微分係数$f'(a)$は0となります。
微分係数とは、関数$f(x)$上のある特定の点における$f(x)$の接線の傾きを意味しています。
直線の傾きが0であるとき、その直線式は$y=C(C$は定数$)$の式で表されます。
つまり、$x$軸に平行な真横に伸びる直線となります。
下の動画は、関数$f(x)$上で点を動かし、各点における接線がどのようになるかを表したものです。
赤色の線は傾きが0となる$f(x)$の接線を意味していますが、動点が極に一致するときにこの赤色の線と動点上の接線が重なることがわかると思います。
つまり、極では微分係数は0となるので、$f'(x)=0$を解けば極の位置がわかることになります。
「可能性がある」というまわりくどい見出しになってしまいましたが、事実であり、しかも知っておくべき基本事項になります。
$f'(x)=0$であるが極ではない場合があることは、次の動画で理解できると思います。
矢印で指された点については、確かに赤色の接線と動点の接線が一致する瞬間がありますが、このような場合は極とはなりません。
極大は「山の」一番上であるという話をしましたが、山というものは登った後は下山するものですよね?
しかし動点は矢印で指された点まで上がっていき、傾き0の接線を描いた直後にまた上がっていっています。
上がってから下がらなければ極大とはならないことに注意しましょう。
極小の場合も考え方は同じで、下がってから上がらないと極小とはなりません。
以上のことから、微分係数が0であることはその点が極であるための必要条件であり、十分条件とはなりません。
極であるかどうかは、微分係数が0となる点について、その前後で関数の増減が切り替わるかどうかだと理解しておきましょう。
ここまでの話で、極値を持つかどうかは関数の増減を考えなければならないということになります。
これを考えるために増減表というものがありますので、増減表の作成方法も説明に入れながら実際に極値を求める例題を解いてみましょう。
微分可能な関数の極値では、必ず微分係数が0になります。
$f(‘x)=0$となる$x$の値を求めましょう。
$f'(x)=0$となる$x$の値は$-1, 1($重解$)$となることがわかりました。
この値を使って下のように増減表を作ります。
増減表は$x, f'(x), f(x)$の3行によって構成されます。
$f'(x)=0$となる$x$の値$-1, 1$を一行目に書き入れるのですが、書き入れた値の両端は$\cdots$としておきます。
そして、$x=-1, 1$のときの$f'(x)$は0となりますので、$f'(x)$行の該当箇所には0を記入しておきます。
次に$f'(x)$行の空欄を埋めていくのですが、ここには+または-の符号を書き入れます。
各$x$の値によって、$f'(x)$の符号がどうなるか、実際にグラフをかいて調べてみましょう。
$f'(x)$は、$f'(-1)=0$、$f'(1)=0$であることから$(-1, 0)$と$(1, 0)$を通り、しかも$x=1$のとき重解なので$(1, 0)$で$x$軸と接することがわかります。
更に$\displaystyle \lim_{x \to \infty} f'(x) = \infty$であることをあわせると$f'(x)$のグラフが次のようになることがわかります。

$x < -1$で$f'(x) < 0$
$-1 < x < 1$で$f'(x) > 0$
$1 < x $で$f'(x) > 0$
であることがわかったので、これを増減表に追加すると次のようになります。
次に今増減表に符号を書きれた列の$f(x)$の行を埋めていくのですが、これは簡単で、$f'(x)$の符号が$-$であれば$\searrow$を、$+$であれば$\nearrow$を書き入れてください。
この矢印は$f(x)$の増減を意味しており、それぞれ「減少」「増加」の意味合いになります。
増減表は次のようになります。
$x=-1$の前後では$f(x)$の増減は減少から増加に切り替わっているので、$f(-1)$は極小値となります。
しかし、$x=1$の前後では$f(x)$の増減は増加から増加のままであり、増減が切り替わっていません。よって$f(1)$は極とはなりません。
最後に$f(-1)$と$f(1)$の値を計算しましょう。
$f(-1)\\$
$= (-1)^4-\cfrac{4}{3}(-1)^3-2(-1)^2+4(-1) \\$
$= 1 + \cfrac{4}{3} -2 -4\\$
$= – \cfrac{11}{3}\\$
$f(1) \\$
$= 1- \cfrac{4}{3} -2 +4\\$
$= \cfrac{5}{3}$
これを増減表に追加すると増減表は完成となります。
$$\begin{array}{rcl} \begin{array}{c||c|c|c|c|c} \hline x&\cdots&-1&\cdots&1&\cdots\\\\ \hline f'(x)&-&0&+&0&+\\\\ \hline f(x)&\searrow&- \cfrac{11}{3}&\nearrow&\cfrac{5}{3}&\nearrow\\\\ \hline \end{array} \end{array}$$以上から、解答は
となります。
【数II】微分法と積分法のまとめ
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-このサイトの記事を書いている人-
某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。
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