高校数学マスマスター

学校や塾では教えてくれない、元塾講師の思考回路の公開

基礎知識

【高次方程式】因数定理について

因数定理

因数定理は高次方程式(一般に三次以上の方程式のことをいう)を解くために欠かすことのできない、とても重要な定理です。

一次方程式は「x= 〜 」の形に等式変形することによって、
二次方程式は解の公式を使用することによって、機械的に解くことができますが、
三次以上の方程式については機械的に解くことができません。

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実は、三次・四次方程式の解の公式は存在していますのでそれを使えば機械的に解くことが可能ですが、高校数学の学習内容には含まれていませんので因数定理により解を求めることとなります。

ちなみに五次以上の方程式の解の公式は存在しないことが証明されています。

今回は因数定理の説明を行い、因数定理を利用して実際に高次方程式を解いてみたいと思います。

因数定理を理解するための準備

因数とは

ある式がいくつかの式の積によってのみ表すことができるとき、その各構成要素のことを因数といいます。
平たくいうと、つまり約数のことだと思って構いません。

例えば、66=2×3のように、積の形に表すことができ、かけ算に使用されている236の因数であるといいます。

割り算をかけ算で表す

例えば、13÷2という割り算を考えます。
13÷2 = 6...1ですね?

この割り算の結果が正しいかどうかを検算しましょう。
2×6+1 = 13
となり、計算は正しいことが確認できました。

ここで重要なことは、割り算の式はかけ算の式として表すことができるという点になります。

つまり、

割られる数 = 割る数 × 商 + 余り

と表すことができるということです。

因数定理

さて本題の因数定理についてですが、因数定理とは次のことをいいます。

多項式f(x)(x-a)を因数に持つことの必要十分条件は、f(a)=0である。

因数定理の証明

一般に、

割られる数 = 割る数 × 商 + 余り

と表すことができますので、

割られる数 : f(x)
割る数 : (x-a)
商 : Q(x)
余り : R

とすると、

    \begin{eqnarray*}f(x) = (x-a)Q(x)+R\end{eqnarray*}

と表すことができます。

十分性 | 多項式f(x)が(x-a)を因数に持つならば、f(a)=0であることの証明

f(x)(x-a)を因数に持つとき、f(x)(x-a)で割り切れなければなりません。
つまり、f(x)(x-a)で割ったときの余りは0になります。

よって、

    \begin{eqnarray*}f(x) &=& (x-a)Q(x)+R \\\\&=& (x-a)Q(x)+0 \\\\&=& (x-a)Q(x) \\\\\end{eqnarray*}

これにx=aを代入すると、

    \begin{eqnarray*}f(a) &=& (a-a)Q(x) \\\\&=& 0 \\\\\end{eqnarray*}

となります。

必要性 | f(a)=0ならば、多項式f(x)は(x-a)を因数に持つことの証明

    \begin{eqnarray*}f(x) = (x-a)Q(x)+R\end{eqnarray*}

x=aを代入すると、

    \begin{eqnarray*}f(a) &=& (a-a)Q(x)+R \\\\&=& 0Q(x)+R \\\\&=& R \\\\\end{eqnarray*}

ここで、仮定f(a)=0より、R=0となる(つまり、余りが0となるので(x-a)割り切れている)ので、多項式f(x)(x-a)を因数に持つことになります。

必要十分性

十分性と必要性の証明ができたので、

因数定理

多項式f(x)(x-a)を因数に持つことの必要十分条件は、f(a)=0である。

が証明されました。

例題を解いてみましょう

因数定理について理解できましたか?
この段階ではしっかり理解できていなくても問題ありません。
実例を通して理解を深めていきましょう。

因数定理を利用してx^3+2x^2-5x-6=0を解いてみます。

f(a)=0となるaを「見つける」

因数定理は、f(x)(x-a)を因数に持つことの必要十分条件は、f(a)=0であるというものですが、
このf(a)=0に着目します。なぜなら今はf(x)の因数(x-a)が具体的に何かがわかっていないからです。

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因数(x-a)がわかっているならば、それを使って因数分解すれば問題は解けてしまいます。
その(x-a)が何かを求めるために、f(a)=0となるaを「見つける」のです。
その結果として因数(x-a)が具体的に何かがわかります。

ここで重要なのがf(a)=0となるaを「見つける」ということです。
xに適当な値を代入していき、f(a)=0が成立する場合を見つけます。

「見つける」という作業は、因数分解のたすきがけと同じ感覚になります。
実際に試してみて、うまくいけばそれが答えだと判断するという方針になります。

f(x)=x^3+2x^2-5x-6とおき、xに適当な値を代入していきます。

    \begin{eqnarray*}f(1) &=& 1+2-5-6 \\\\&=& -8 \neq 0 \\\\\end{eqnarray*}

    \begin{eqnarray*}f(2) &=& 8+8-10-6 \\\\&=& 0 \\\\\end{eqnarray*}

f(a)=0a=2のとき成立することが「見つかり」ました。
因数定理よりf(2)=0であることから、f(x)(x-2)を因数に持つことがわかります。
つまりf(x)(x-2)で割り切れるので、実際に割り算を行うと、

    \begin{eqnarray*}f(x) &=& x^3+2x^2-5x-6 \\\\&=& (x-2)(x^2+4x+3)\\\\\end{eqnarray*}

となります。x^2+4x+3は中学数学の知識で因数分解ができますので、因数分解すると、

    \begin{eqnarray*}f(x) &=& (x-2)(x+1)(x+3) \\\\\end{eqnarray*}

となります。

よって、x^3+2x^2-5x-6=0の解は、x=2, -1, -3であることがわかりました。

f(a)=0となるaが見つからない場合にどうすればよいか

f(a)=0となるaの値が複雑な数である場合、その数を見つけることは現実的にはできないと考えてください。

しかし、高次方程式の解の値が必要とされる問題では、f(a)=0となるaの値は簡単な整数値(負の数の場合もあります)になるように問題の作成者が設定してくれています

つまり、いくつか簡単な整数値を代入すればf(a)=0となるaの値は見つかるようになっています。

それでも見つからない場合は、計算が間違っているか、解を求める必要性のない問題であると推測されます。
正しい計算と問題把握ができていればf(a)=0となるaが見つからなくて困る場合は無いので、心配することはありません。

f(a)=0となるaの値を効率よく見つけるには

「見つける」という作業は、因数分解のたすきがけと同じ感覚になります。
たすきがけでは、まず最高次の項の係数と最低次の項(定数)に着眼しましたよね?
高次方程式についてもそれは同様です。

例えば、xn次方程式が有理数解x=\cfrac{b}{a}(ただしa\neq0)をもつとき、方程式は
(ax-b)(c_1x^{n-1} + c_2x^{n-2} + \cdots + c_n)=0と表すことができます。
これを展開したときの最高次の項の係数と最低次の項(定数)はそれぞれ、ac_1, ~ -bc_nとなり、
a, ~bはそれぞれ、最高次の項の係数の約数と最低次の項(定数)の約数であることがわかります。

よって、有理数解x=\cfrac{b}{a}は、最低次の項(定数)の約数(=b)を最高次の項の係数の約数(=a)で割ったものに限られることになります。

よって、先の例題x^3+2x^2-5x-6=0については、最低次の項(定数)の約数( = \pm1, \pm2, \pm3, \pm6)を最高次の項の係数の約数(= \pm1)で割った値(= \pm1, \pm2, \pm3, \pm6)のいずれかがf(a)=0をみたすことになります。

何を代入すればf(a)=0をみたすかが全くわからないよりは、いくつかの候補がわかっていた方が気持ち的にも楽ですよね?
闇雲に代入を試していくよりは候補を事前に絞った方が効率的ですので、ぜひこのように候補を絞って計算を進めるようにしましょう。

因数定理の説明のおわりに

慣れてくると高次方程式の各項の符号と絶対値を見ただけで、f(a)=0となるaの値が何になりそうか、検討をつけることができるようになっていきます。

慣れないうちは地道に計算し、その過程でコツをつかんでいけると良いと思います。

【基礎】方程式・式と証明のまとめ

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