基礎知識

【確率】期待値の計算方法とその例題

確率とは、ある事柄がどれくらいの割合で発生するかを意味するものです。
これを少し発展させると期待値という値を用いて、ある事柄を行った方が得かどうかを判断することができるようになります。

ここでは期待値の計算方法と、その例題を紹介していきたいと思います。

期待値の計算方法

変量$X$のとる値を$x_1, x_2, \cdots , x_n$ とし、これらの値をとる確率を、$p_1, p_2, \cdots , p_n$ (ただし、$p_1+ p_2+ \cdots + p_n=1$)とすると、$X$の期待値$E$は、

$$\begin{array}{rcl} E &=& x_1p_1+x_2p_2+ \cdots + x_np_n \\\\ \end{array}$$

期待値の例題

次の例題について考えてみましょう。

次の二つのゲームA, Bがある。

A : さいころを1回ふり、1の目が出たら1000円もらえ、それ以外の目が出ると100円支払う。
B : さいころを1回ふり、1の目または6の目が出たら500円もらえ、それ以外の目が出ると50円支払う。

どちらのゲームに参加する方が得か。

マスマスターの思考回路

期待値の大小を比較し、どちらが得かどうかを判断します。
変量$X$と確率$P$の表を作りましょう。

Aについて、

$X$$1000$$-100$
$P$$\cfrac{1}{6}$$\cfrac{5}{6}$

上表より、期待値は

$$\begin{array}{rcl} &&1000 \cdot \cfrac{1}{6} + (-100) \cdot \cfrac{5}{6} \\\\ &=& \cfrac{1000}{6} – \cfrac{500}{6} \\\\ &=& \cfrac{500}{6} \end{array}$$

Bについて、

$X$$500$$-50$
$P$$\cfrac{2}{6}$$\cfrac{4}{6}$

上表より、期待値は

$$\begin{array}{rcl} &&500 \cdot \cfrac{2}{6} + (-50) \cdot \cfrac{4}{6} \\\\ &=& \cfrac{1000}{6} – \cfrac{200}{6} \\\\ &=& \cfrac{800}{6} \end{array}$$

Aの期待値 $\cfrac{500}{6}$ とBの期待値 $\cfrac{800}{6}$ ではBの期待値の方が大きいので、Bのゲームを行う方が得であると判断することができます。

期待値の説明の終わりに

いかがでしたか?

期待値の計算方法自体はとても単純なものなので、比較的簡単に覚えられるかと思います。

期待値の注意点として、確率は試行回数が多いほど均一化されていくことと同じで、期待値についても十分な試行回数がないとあまり意味をなさないことに注意しておきましょう。

あくまでも、期待値は十分な試行回数があることを前提とし、平均的にどれくらいの値となることが予想されるかということを意味しており、現実的には試行回数や対象とする条件によりどちらが得であるかの判断は変わるということを覚えておきましょう。

【確率】場合の数と確率のまとめ

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プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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