【基礎知識】乃木坂46の「いつかできるから今日できる」を数学的命題として解釈する
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基礎知識
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二重根号は高校数学の序盤で学習する内容ですが、その割に計算が難しく、しかもあまり使う場面も多くないため、忘れてしまいがちな内容となります。
二重根号の外し方をその外し方の方針から理解しておくことで、いつでも使える知識として蓄えておくようにしましょう。
$\sqrt{5+2\sqrt{6}}$ のように、ルートの中にルートが含まれているような式を二重根号といいます。
マスマスターの思考回路
二重根号に限らず根号が外せるかどうかは、根号の中の数が平方数であるかどうかによります。
平方数とは、1, 4, 9, 16, 25, … のように二乗の数のことであり、これらの数のルートは
$$\begin{array}{rcl} \sqrt{1} = 1 \\\\ \sqrt{4} = 2 \\\\ \sqrt{9} = 3 \\\\ \sqrt{16} = 4 \\\\ \sqrt{25} = 5 \\ \end{array}$$といったように根号が外れ、自然数で表現することができます。
このことを二重根号にも応用しましょう。
つまり、二重根号の外し方の方針は、「根号の中身を平方数に無理やり変形する」というものになります。
例えば $\sqrt{5+2\sqrt{6}}$ という二重根号が、次のように変形できると仮定します。
$$\begin{align} \sqrt{5+2\sqrt{6}} &=& \sqrt{(\sqrt{a} + \sqrt{b})^2} \\ \end{align}$$マスマスターの思考回路
根号が外れるためには根号の中身の数が平方数でなければならないので、 $( ~)^2$ の形に変形できることを仮定してしまいます。
右辺を展開すると、
$$\begin{array}{rcl} \sqrt{5+2\sqrt{6}} &=& \sqrt{a+b + 2\sqrt{ab}} \\ \end{array}$$となり、上式の係数をそれぞれ比較することにより
$$\begin{array}{rcl} \begin{cases} a+b = 5 & \\ ab = 6 & \end{cases} \end{array}$$となり、$a, b$ は足して5、かけて6になる数、つまり2と3であることがわかります。これを(1)式に代入すると、
$$\begin{array}{rcl} \sqrt{5+2\sqrt{6}} &=& \sqrt{(\sqrt{2} + \sqrt{3})^2} \\\\ &=& \sqrt{2} + \sqrt{3} \\ \end{array}$$となり、二重根号を外すことができました。
これを一般化すると、
ただし、
$$\begin{array}{rcl} \begin{cases} a+b = A & \\ ab = B & \end{cases} \end{array}$$ということになります。
二重根号の外し方を一般化しましたが、 $\sqrt{A+2\sqrt{B}}$ という式には、2という具体的な数値が入ってしまっています。
とすると、$\sqrt{8+4\sqrt{3}}$ のように、二重根号内部の根号の係数が2でなく4となっているような式はどのように二重根号を外せば良いのでしょうか?
答えは簡単で、下の計算のように無理やりに2を作り出すように変形することで二重根号を外すことができます。
$$\begin{array}{rcl} \sqrt{8+4\sqrt{3}} &=& \sqrt{8+2\sqrt{12}} \\ \end{array}$$あとは先の例と同様に考えればよく、足して8、かけて12になる数、つまり2と6を用いて
$$\begin{array}{rcl} \sqrt{8+4\sqrt{3}} &=& \sqrt{2} + \sqrt{6} \\ \end{array}$$といったように二重根号を外すことができます。
さて、ここまでで二重根号の外し方自体の説明は終了となりますが、次の例はどうでしょうか?
$$\begin{array}{rcl} \sqrt{50+2\sqrt{621}} \end{array}$$足して50、かけて621になる数は何でしょうか?
そう簡単にはわかりませんよね?
このように、答えとなる数がわからない場合には方程式を用いて求めれば良いでしょう。
つまり、足して50、かけて621になる数は
$$\begin{array}{rcl} \begin{cases} a+b = 50 & \\ ab = 621 & \end{cases} \end{array}$$の解ですから、これを解くことによって求めることができます。
第一式を $b = 50-a$ と変形し、第二式に代入すると
$a(50-a) = 621 \\$
$50a-a^2 = 621 \\$
$a^2 – 50a + 621 = 0 \\$
$a = \cfrac{50 \pm \sqrt{(-50)^2 -4 \cdot 1 \cdot 621}}{2} \\$
$= \cfrac{50 \pm \sqrt{2500 – 2484}}{2} \\$
$= \cfrac{50 \pm \sqrt{16}}{2} \\$
$= \cfrac{50 \pm 4}{2} \\$
$= 27, 23 \\$
よって、足して50、かけて621になる数は27, 23なので
$$\begin{array}{rcl} \sqrt{50+2\sqrt{621}} &=& \sqrt{27} + \sqrt{23} \\\\ &=& 3\sqrt{3} + \sqrt{23} \\ \end{array}$$のように二重根号を外すことができます。
いかがでしたか?
そもそも足して*、かけて*になる数を見つけるというのは因数分解の基本ですよね?
因数分解は二次方程式の解法として応用できますので、二次方程式を解くことで逆にその数を求めることができるというわけです。
また同時に、二次方程式の解が有理数解でなかった場合には二重根号を外せないということになりますので、このことも併せて覚えておくと良いでしょう。
【基礎】数と式のまとめ
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-このサイトの記事を書いている人-
某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。
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テストなどでは一般に、二重根号は外した状態で解答しなければなりません。
特に指示がなくても有理化しておかなければならないことと同様に、二重根号も外した状態で解答することが一般的なルールとなります。
ただし、数字の組み合わせ次第では外すことができない二重根号というものがありますので、その場合は二重根号のまま解答することとなります。