基礎知識

2次関数の決定

ここでは、与えられた条件を満たすような二次関数の式を求める方法について説明を行います。

条件の与えられ方にはいくつかの種類があるのですが、条件によって適切な進め方というものがありますので、その点についても併せて説明を行っていきましょう。

通る3点が与えられた場合

(-1, 12), (1, 0), (2, 0) を通る二次関数を求めよ。

マスマスターの思考回路

二次関数には、y = ax^2+bx+c または y = a(x-p)^2 + q という二つの表現方法がありましたが、このうちのどちらを使用するべきかをまず最初に決めましょう。

後者の表現方法は頂点の座標と密接な関係がありますが、与えられた条件には頂点の座標についての情報は含まれていません。

よって、消去法的に前者の表現方法を選択することとなります。

求める二次関数を y = ax^2+bx+c とおくと、この関数が (-1, 12), (1, 0), (2, 0) を通ることから、

(1)   \begin{eqnarray*} 12 = a - b + c \\\\     \end{eqnarray*}

(2)   \begin{eqnarray*}   0 = a + b + c \\\\  \end{eqnarray*}

(3)   \begin{eqnarray*}   0 = 4a + 2b + c \\\\  \end{eqnarray*}

となります。

マスマスターの思考回路

「通る」とは「代入できる」ということです。
これは中学数学の範囲ですが、数学が苦手で手が止まってしまいがちな方は特に、このことを今一度しっかり意識するようにしておきましょう。

(1)式 – (2)式より、

(4)   \begin{eqnarray*} 12 = - 2b \\\\     \end{eqnarray*}

(1)式 – (3)式より、

(5)   \begin{eqnarray*} 12 = -3a - 3b \\\\     \end{eqnarray*}

(4)式より、

(6)   \begin{eqnarray*} b = -6 \\\\     \end{eqnarray*}

(6)式を(5)式に代入すると、

    \begin{eqnarray*} 12 &=& -3a +18 \\\\  3a &=&  6 \\\\    \end{eqnarray*}

(7)   \begin{eqnarray*} a &=& 2 \\\\    \end{eqnarray*}

(6)式と(7)式を(2)式に代入すると、

    \begin{eqnarray*}   0 &=& 2 - 6 + c \\\\ -c &=& -4  \\\\ c &=& 4  \\\\ \end{eqnarray*}

以上により、求める二次関数は

    \begin{eqnarray*}   y &=& 2x^2 - 6x + 4 \end{eqnarray*}

となります。

別解

求める二次関数 y = ax^2+bx+c は、(1, 0), (2, 0) を通ることを用いると、

(8)   \begin{eqnarray*} y = a(x-1)(x-2) \end{eqnarray*}

と書くことができます。

マスマスターの思考回路

0 = ax^2+bx+c の解が x=1, 2 であることにより、 y = a(x-1)(x-2) と変形することができます。

これは、二次方程式の解は因数分解により求められるように、解がわかっていれば因数分解ができるということを利用しています。

これに (-1, 12) を代入すると、

    \begin{eqnarray*} 12 &=& a(-1-1)(-1-2) \\\\ 12 &=& a(-2)(-3) \\\\ 12 &=& 6a \\\\ a &=& 2 \\\\ \end{eqnarray*}

これを(8)式に代入すると、

    \begin{eqnarray*} y &=& 2(x-1)(x-2) \\\\ &=& 2(x^2-3x+2) \\\\ &=& 2x^2-6x+4 \\\\ \end{eqnarray*}

となります。

頂点の座標が与えられた場合

頂点が (1, 2) であり、 (3, 6) を通る二次関数を求めよ。

マスマスターの思考回路

本問では頂点の座標が与えられていますので、 y = a(x-p)^2 + q の式を用いて解き進めましょう。

求める二次関数を y = a(x-p)^2 + q とおくと、頂点が (1, 2) であることから、

(9)   \begin{eqnarray*} y = a(x-1)^2 + 2 \\\\ \end{eqnarray*}

と書くことができ、これが (3, 6) を通るので、

    \begin{eqnarray*} 6 &=& a(3-1)^2 + 2 \\\\ 6 - 2 &=& a(2)^2  \\\\ 4 &=& 4a  \\\\ a &=& 1 \\\\ \end{eqnarray*}

これを(9)式に代入すると、

    \begin{eqnarray*} y &=& 1(x-1)^2 + 2 \\\\ &=& (x-1)^2 + 2 \\\\ &=& x^2-2x+1 + 2 \\\\ &=& x^2-2x+3 \\\\ \end{eqnarray*}

以上により、求める二次関数は

    \begin{eqnarray*} y &=& x^2-2x+3 \\\\ \end{eqnarray*}

となります。

2次関数の決定の説明のおわりに

いかがでしたか?

ここでは取り扱いませんでしたが、最大値・最小値についての条件から二次関数の決定を行うような問題もあります。

しかし、様々なパターンの問題が出題されても本記事で説明した内容が基本となりますので、ここまでの内容をしっかり身につけておくようにしましょう。

【基礎】二次関数のまとめ

プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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