基礎知識

整数の割り算と商および余り

ここでは、余りのある割り算の等式での表し方と、余りによる整数の分類についての説明を行っていきます。

割られる数 = 割る数 × 商 + 余り

13 ÷ 2 という割り算について考えましょう。

小学校で習った答え方であれば、

    \begin{eqnarray*} 13 \div 2 &=& 6 ~ . . . ~ 1 \end{eqnarray*}

となりますが、高校数学では

    \begin{eqnarray*} 13 &=& 6 \times 2 + 1 \end{eqnarray*}

のように、割り算の計算記号を用いずに、掛け算の計算記号を用いて割り算を表現します。

つまり、

割られる数 = 割る数 × 商 + 余り

という形で割り算を表現します。

マスマスターの思考回路

方程式を学んでいれば、等式の両辺に同じ処理を行って式を変形しても問題ないことはわかりますね?
13 \div 2 &=& 6 ~ . . . ~ 1 という式には割り算が含まれていて複雑なので、両辺に2をかけて分母を払おうと考えるわけです。

すると、13 &=& (6 ~ . . . ~ 1) \times 2 となるのですが、この右辺には「 . . . 」というよくわからない記号が含まれており、どう計算していいかわかりません。
なので「 . . . 」という記号を使わずに、余りのある割り算を表現する方法があれば便利なわけです。

そこで、小学校のときに学習した、割り算の確かめ算を思い出しましょう。
割り算の確かめ算は、割る数に商をかけて余りを足した結果が、割られる数に一致するかどうかを確認するものでしたが、それは上に挙げた「割られる数 = 割る数 × 商 + 余り」が意味することそのものになるわけです。

このように、割り算の確かめ算の考え方を用いることで「 . . . 」という記号を使わずに済み、計算可能な等式として割り算を表現できることになるわけです。

一つ簡単な例題を解いてみましょう。

例題

a,b は整数とし、a5 で割ると 2 余り、 b5 で割ると 3 余る。
2a+3b5 で割った余りを求めよ。

解答

k,l を整数とすると、a,b はそれぞれ次のように表せる。

    \begin{eqnarray*} a &=& 5k + 2 \\\\ b &=& 5l + 3 \\\\ \end{eqnarray*}

マスマスターの思考回路

k,l は適当な商として機能しています。
余りに着眼していますので、商は何でも良いわけです。

これらを 2a+3b に代入すると、

    \begin{eqnarray*} 2a+3b &=& 2(5k + 2) + 3(5l + 3) \\\\ &=& 10k + 4 + 15l + 9 \\\\ &=& 10k + 15l + 13 \\\\ &=& 10k + 15l + 10 + 3 \\\\ &=& 5(2k + 3l + 2) + 3 \\\\ \end{eqnarray*}

以上により、2a+3b5 で割った余りは 3 となる。

マスマスターの思考回路

1310 + 3 に変形するところがポイントになります。
式変形の方針としては、 13 を「 13 以下の最大の 5 の倍数( =10 ) + 5 未満の整数( =3 )」のように和の形に分解するというものになります。

ここで「 5 の倍数 」や「 5 未満の整数」を考えているのは、最終的に 5 で割ったときの余りを求めるためになります。

余りによる整数の分類

例えば、 ある整数を 3 で割った余りは 0, 1, 2 のいずれかになりますが、これらは整数 k を用いてそれぞれ 3k,  3k + 1, 3k + 2 と表すことができます。

逆に、 3k,  3k + 1, 3k + 2 について、 k0, 1, 2, \cdots と様々な値を代入していくと、

k = 0 のとき、 0, 1, 2
k = 1 のとき、 3, 4, 5
k = 2 のとき、 6, 7, 8


といった具合で全ての整数を表現することができます。

つまり、一般の整数 n は整数 k を用いて、 n = 3k,  3k + 1, 3k + 2 と表すことができるということになります。

マスマスターの思考回路

同様の考え方で、
n = 4k, 4k+1, 4k+2, 4k+3
と表すことも可能です。

このことが何の役に立つのか、次の例題を見てみましょう。

例題

n^23 で割った余りは 0 または 1 であることを示せ。

解答

マスマスターの思考回路

この問題の答えは n^2 = 3a + b と表したときの b なのですが、 n^2 はそれ以上計算できませんし、 a が何かもわかりません。計算のとっかかりが無いわけです。

そこで、 本問題では 3 で割った余りを求めますので、 3 で割ったときの余りで n を分類しましょう。
つまり、 n = 3k,  3k + 1, 3k + 2 と表します。
これにより、実際に計算を行うことが可能となります。

k を整数とする。

n = 3k のとき、

    \begin{eqnarray*} n^2 &=& (3k)^2 \\\\ &=& 9k^2 \\\\ &=& 3(3k^2) + 0 \\\\ \end{eqnarray*}

より、 3 で割った余りは 0

n = 3k + 1 のとき、

    \begin{eqnarray*} n^2 &=& (3k+1)^2 \\\\ &=& 9k^2 + 6k + 1 \\\\ &=& 3(3k^2 + 2k) + 1 \\\\ \end{eqnarray*}

より、 3 で割った余りは 1

n = 3k + 2 のとき、

    \begin{eqnarray*} n^2 &=& (3k+2)^2 \\\\ &=& 9k^2 + 12k + 4 \\\\ &=& 9k^2 + 12k + 3 + 1 \\\\ &=& 3(3k^2 + 4k + 1) + 1 \\\\ \end{eqnarray*}

より、 3 で割った余りは 1

以上により題意は示された。

整数の割り算と商および余りの説明のおわりに

いかがでしたか?

割り算に関する式は「割られる数 = 割る数 × 商 + 余り」の形で表すということは必ず覚えておきましょう。

また上式の右辺を用いて、余りによる分類を行うことができるという点についても整数問題を解くうえで重要な知識となりますので、身につけておくようにしましょう。

【基礎】整数の性質のまとめ

プロフィール

-このサイトの記事を書いている人-

某国立大工学部卒のwebエンジニアです。
学生時代に塾講師として勤務していた際、生徒さんから「解説を聞けば理解できるけど、なぜその解き方を思いつくのかがわからない」という声を多くいただきました。
授業という限られた時間の中ではこの声に応えることは難しく、ある程度の理解度までに留めつつ、繰り返しの復習で覚えてもらうという方法を採らざるを得ないこともありました。
本ブログでは「数学の問題を解くための思考回路」に重点を置いています。
それらを通じて自らの力で問題を解決する力が身につくお手伝いができれば幸いです。

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